では、どうすればいいのか。
「面倒臭い遺品整理」をしなくて済むように、“その時”に備えよう。
手放すか、手元に残すか
答えを見つけられる
「要る・要らない・迷い・移動」の中で、「迷い」や「要らない」に入ったものは、ゴミとして処分するよりほかないのだろうか。
もちろん不要品買取に出したり、ヤフオクやメルカリに出品するという選択もあるが、「エステートセール」を利用するという方法もある。
エステートセール(Estate Sales)は、遺産相続人が故人宅から必要な物品を取り終えた後、残った家財全てをエステートセーラーを通じて一般に販売するという、1970年頃にアメリカで始まったサービスだ。アメリカでは転勤や離婚、施設への入居など、人生の節目でおこなわれている。
エステートセールを本場で学び、日本に普及させる活動をしている、株式会社ポジティブシンキング代表の堀川一真さんは言う。
「エステートセールは世界中にお客様がいるほか、売却した物品の販売益から50~60%を依頼者に渡すので、依頼者に大きな利益が残ります。また、物品の価値を依頼者と共有しながら価格設定するため、良い物品は受け継がれる文化が社会にしっかり根付きます」
不要品買取業者の買取価格は「仕入値」。対してエステートセールの設定価格は「最終販売価格」だ。そのため販売手数料を差し引いても数倍高く売却できる。
さらに、不要品買取の場合は、依頼者は物品の本当の価値を知らないまま売却してしまうことが多いが、エステートセールの場合は、自分の持ち物の査定額を知らせてもらえる。
物にまつわる価値や思い出を
家族で共有することができる
もちろん査定した後に「やっぱり売らない」という選択も可能だ。
筆者は父を亡くした後、母にエステートセールを紹介した。その結果、母が子どもの頃に遊んでいたという古い人形は、人形自体に価値があるほか、その人形が着ている着物が筆者の曽祖母の手作りということもあり、堀川さんの「大切に遺しておいては?」という助言を受け、手放さないことに決めた。