「親のお金が使えない!」印鑑8本に大混乱…写真はイメージです Photo:PIXTA

介護と聞けば、まず体力や精神面の負担を思い浮かべるだろう。だが、実際には「お金」をめぐる課題こそが先に当事者を悩ませるのだ。日常の支出から介護サービスの利用申請まで、想像以上に複雑な場面が待ち受けている。親の生活を支えながら安心して介護に臨むには、どのような視点が欠かせないのか。ある家族の体験談を通じて、そのヒントを探る。※本稿は、旦木瑞穂『しなくていい介護 「引き算」と「手抜き」で乗り切る』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。 

「親の介護費用」は
親が出すよう徹底準備!

 親の介護にかかった費用を子どもが払ってしまう事例が少なくない。例えば親の病院代や薬代だ。

 デイサービスなどの介護費用などは、親の年金が振り込まれる銀行口座から引き落とされる仕組みになっている場合が多いようだが、突発的に親が病院を受診し、その費用を子どもが払うケースが散見される。

 そのほかにも、子どもが実家に通う交通費や、実家で親のために用意する食事や共にする飲食代などは、子どもが払ってしまっている場合が多い。

 もちろん、経済的に余裕があるなら良いだろう。しかしそうでないならば、「親しき仲にも礼儀あり」。介護費用のことで後々、親子関係、きょうだい関係を壊したくないなら、絶対になあなあにしてはならない。

 最初は「少しくらいいいだろう」と思っても、介護は何年続くかわからない。「塵も積もれば山となる」。いつか不満として爆発してしまうかもしれない。そうなる前に、親やきょうだいと話し合い、「親の介護費用は親が出す」を徹底しよう。
 
(1)交通費
 遠距離や近居で介護のために実家に通う交通費も親のお金で賄おう。