このほかにも、自分の手放した品物がどんな人の手に渡ったか、相手の写真を見ることや、相手からのメッセージを受け取ることができるのもエステートセールの特徴だろう。
「エステートセールのメリットは、自分の持ち物の価値を自分で知ることができる点。物にまつわる想いや価値を総合的に整理しておけば、良いものは手放さずに家族で共有し、受け継いでいくこともできます」
捨てることは忍びなくても、「安くてもいいから誰かに譲りたい」という親世代は多い。
家の中で眠っていてはそのものの価値を発揮できないが、エステートセールやオークション、フリマアプリなどで価値のわかる人に託すことができれば、手放す罪悪感も軽減され、お金に変換されることで気持ちが高まる。親子で「生前整理」をして、売却したお金で美味しい物を食べたり、小旅行をする目標を立てるのも、良い楽しみになるだろう。
査定額1500万円!?
まんだらけの「生前見積」
古玩具・古書籍販売をおこなう株式会社まんだらけは、2016年3月から無料で「生前見積」サービスを開始した。まんだらけWEBサイトにある専用フォームから問い合わせすることができ、中には査定額が1500万円に上ったケースもあるという。
同サービスのきっかけは、元取締役社長・辻中雄二郎さんが受けた、「自分の死後、価値がわかる人がいなくて捨てられたら嫌だ」「死ぬまで手放したくないけど、ゴミにされるのは避けたい」という常連客数人からの悩み相談だった。
実際、ずっと家族に理解されないまま、コソコソと続けてきたコレクションを「生前見積」に出したところ、びっくりするような高額な値がついたため、家族にコソコソしなくて良くなった上、「自分が死んでも家族に捨てられる心配がなくなって安心した」というコレクターもいるという。
あらかじめ「生前見積」を利用しておけば、自分が亡くなった後、遺族がどう処分すべきかの判断材料になる。
「ビックリマンやオリオンシールなど、シールやカード類は50万~100万円の値がつくものが潜んでいますし、ブリキやソフトビニールの玩具類は値崩れし難く、どれも査定額は高いです」