同社広報担当者が話すように、筆者は取材でまんだらけの中野店を訪れた時、子どもの頃、弟が集めていたビックリマンシールに付けられた値札に驚愕し、実家にまだ残っているか確認した。

 大学進学や就職、結婚などで実家を出ているが、自分の部屋が子どもの頃のままになっているという人は少なくない。まずは宝探しのつもりで、実家の自分の部屋の整理から始めてみるのも一興だ。

「生前整理」をしておくことで
余生をより充実したものに

「生前整理」を始める時期は、早ければ早いほど良い。親は高齢になってくると年々身体が疲れやすくなったり、不自由になったりしてくるため、思うように片付けや掃除をすることができなくなっていく。また、突然倒れて入院となる場合や、そのまま亡くなってしまうケースも少なくない。

『しなくていい介護 「引き算」と「手抜き」で乗り切る』『しなくていい介護 「引き算」と「手抜き」で乗り切る』(旦木瑞穂 朝日新書、朝日新聞出版)

 一方で、長寿化が進む昨今、100歳を超える人も珍しくはない。悠長に構えていると、子どもも高齢になり、力仕事は難しくなる。かといって、30~50代は仕事や子育てで忙しく、親や祖父母の家の片付けに費やす時間は捻出しにくい。

 親と離れて暮らしているならなおさら、少しずつでも早くに取り組み始めれば、対話する機会も増える。気兼ねなく親と話す習慣を作ることは、子どもにとって大きなメリットとなる。(表5-2)

「生前整理診断士」の三浦さんが言うように、親に「生前整理」を促す前に自分が取り組めば、人生のやり残しに気づいたり、大切にしていたものを思い出すことができるだけでなく、残りの人生をそのために費やすことが可能になる。

「生前整理」をしておけば、面倒臭い「遺品整理」はしなくていい。せっかく元気なうちに取り組むのだから、できることなら親子で会話を楽しみながら。1人でなら、宝探し気分で向き合えば楽しい。

「縁起でもない」「死に支度だ」などと言われて敬遠されることもある生前整理だが、それは大きな間違いだということが伝わっただろうか。残りの人生をより充実させるきっかけにできる、いいこと尽くしの活動が、「生前整理」なのである。

表5-2 親と「生前整理」をする時のOKワードとNGワード同書より転載 拡大画像表示