佐藤優氏佐藤優氏 Photo by Shogo Murakami

中途採用面接で、採用してはいけない人を見抜く方法はあるのだろうか。元外務省主任分析官で佐藤優さんに、とっておきの方法を聞いた。(作家・元外務省主任分析官 佐藤 優)
※本稿は動画「佐藤優 謙虚な人の戦略書」の一部を抜粋・編集したものです。

能力が高くて実績も十分な人が
応募してきたら警戒する理由

 即戦力の採用でまず重要なことは能力が高いことです。

 その次に重要なのが人柄で、3番目が実績だと思います。実績というのは場所に恵まれていないと出せない場合がある。だから、能力が高くて人柄が良くて、実績が出せていないという場合は、採用していいと思います。

 ですが、能力が高くて実績を十分に上げている人が応募してきたら、私なら警戒しますね。

 能力が高くて実績もあるのになぜ会社を変わりたいのか?それには何か理由があるはずで、その理由を申告する必要のないケースもある。例えば人間関係とか、社内の中でのセクハラとか、あるいはすごくまずい不倫で不同意性交みたいな事態になっているとか、表に出ないプライベートなことで大問題になりかけているケースもあるかもしれない。

 例えば、とあるローファームの人材募集に、地方検察庁の検事正でトップにまで上り詰めたけれど、まだ定年まで3年残している人が応募してきたとします。周囲に評判を聞くと、さらにその上の高等検察庁で検事長になるんじゃないかとみんなが思っているほど優秀だという。

 そういう人が面接に来た時に雇うかどうか。私なら採用しません。そんなに能力が高くて実績もある人が、定年の3年前に辞めるはずがないからです。

「いやあ、弁護士の世界を見てみたいから」などと言われても、合理性のある説明には思えない。能力が高くて実績を上げているけれど、人柄についてはよく分からない時は気をつけないといけません。

 ただし、長時間労働が大変で家族との時間を大切にしたいとか、上司が派閥争いに敗れていられなくなった、などの合理的で納得できる理由があるなら別です。

 では人柄はどのように見抜けばいいのか。面接の時にこう質問してみてください。