山櫻・市瀬豊和社長山櫻・市瀬豊和社長

創業94年を迎える老舗の紙製品メーカー・山櫻を率いる市瀬豊和社長は、41歳で社長に就任。デジタル化が進んでいなかった旧来の体質を抜本的に改め、クラウド型名刺発注管理サービスの導入や、環境に配慮したエシカル製品の企画・販売に注力するなど、同社の事業構造改革を主導した。そんな市瀬氏が考える「未来に成果を出せる人材」の特徴とは?(山櫻代表取締役社長 市瀬豊和、構成/冨田ユウリ)

過去の実績が未来の成功を
保証するわけではない

「人を評価するときに重視していることは何ですか?」「昇進の決め手となるポイントは何でしょう?」と聞かれることはよくあります。人材評価の軸というのは、評価される側にとっても評価する側にとっても非常に重要なことです。

 その人の評価や昇進を考えるとき、みなさんはどこに注目するでしょう。経験年数、スキルセット、コミュニケーション能力……さまざまな評価軸がありますが、多くの人が最初に思い浮かべるのは「その人がどんな実績を出してきたか」ということではないでしょうか。

 もちろん実績というのは、大きな物差しとなります。その人が過去にどんな成果を上げてきたのか、成果に対してどんな貢献をしてきたのか。私たちはビジネスの世界で戦っているわけですから、成果を出すということは大前提の話です。ですが、人材評価において、私は絶対に実績だけでは判断しません。それには理由があります。

 20年以上社長として経営の現場に向き合う中で痛感しているのは、「過去の実績が未来の成功を保証するわけではない」ということです。いくら過去に華々しい実績を上げてきた人でも、それがこの先も続いていくとは限らないのです。

 むしろ、過去の実績に甘んじてしまう人や役職・立場に満足している人ほど、未来では通用しなくなるリスクを抱えていると思います。

 では、未来に成果を出せる人材とは、どういう人なのか。