
コンビニやスーパーで、おにぎりが昔より大きい「ビッグサイズおにぎり」となって販売され始めている。「ビッグサイズおにぎり」の急速な普及の背景には、米価の高騰による、ある逆風がある。にわかに勢いづいた「おにぎり商戦」を分析した。(フードコンサルタント 池田恵里)
コンビニで進化するビッグサイズおにぎり
コンビニのおにぎりは今どうなっているのか。この夏・秋に販売された大手3社の「ビッグサイズおにぎり」をまとめると次の通りだ。
まず、ファミリーマートは、東京で人気のおにぎり専門店「ぼんご」監修のおにぎりを投入し、コラボによる“話題性”と“プレミア感”を訴求している。
セブン-イレブンは、2025年9月7日から「旨さ相盛おむすび」を順次発売。形崩れを防ぐ専用包材で“持ち運び”も考慮した設計になっている。
そして、ローソンは「大きなおにぎり」シリーズを展開。「大きなおにぎり 辛旨チャーハン&チャーシューマヨネーズ」(税込289円)を食べてみたが、パンチの効いた味付けで、若年層やボリューム志向の層をしっかりつかんでいる。
3社のおにぎりは、次のキーワードに集約されるのではないだろうか。それぞれの差別化戦略が、ビッグサイズおにぎり市場を拡大させている。
・ファミリーマート:話題性とプレミア感
・セブン-イレブン:容器による利便性
・ローソン:ジャンキーな味とボリューム
いずれも試食すると、機械製造とは思えないほどのふんわり感に驚かされる。機械化により中具を増量しても崩れにくくなった点も大きな進化だ。
手握りだとこのサイズ感のものは製品化しにくい。これまで手握りだと、総重量の約1割が限度とされ、それ以上になると、形崩れが起きやすいのだ。技術の進化が、市場の拡大の一つの理由でもある。
また、コンビニ関係者は「おにぎりはプライベートブランドのおかず商品との組み合わせ需要が多く、弁当と違って“2個買い・セット買い”につながりやすいカテゴリーです」と語っていた。
おにぎりに合わせて買うのは、飲み物――というイメージは、おそらく多くの人にあるだろうが、実はおかずを合わせて買う人が結構いるのだ。