ドラッグストアの生鮮食品大戦争が勃発している。ドラッグストアではこれまで、食品は安売りして集客の手段として扱われてきた。だが、売り場に生鮮食品が並ぶチェーンが増加しているのだ。ドラッグストアの垣根を超えた「領海侵犯」に、生鮮食品を主力とする食品スーパー、さらにコンビニも主力部門である食品が脅かされかねない状況になってきている。(流通ジャーナリスト 森山真二)
ツルハやウエルシアが
生鮮食品を増やす
「来期(22年5月期)はさらに約200店で生鮮食品(青果、精肉)の取り扱いを始めたい」――。
ドラッグストア大手のツルハホールディングス(HD)の鶴羽順社長はこう話す。
ツルハHDでは今期(21年5月期)までに全約2000店のうち既存店約700店に生鮮食品の売り場を導入する見通しだが、来期はさらに増やすというのだ。
最大手のウエルシアHDもこれまで生鮮食品に慎重なスタンスだったが、生鮮食品の取り扱いをジワジワと増やしている。大手ドラッグストアチェーンの売り場はさながら、「ここはスーパーか?」と見まごうばかりだ。
なぜ、こうも生鮮食品を取り扱うドラッグストアが増えているのだろうか。