「会議が長引く人」と「すぐ結論を出せる人」のたった1つの違いとは?
「1つに絞るから、いちばん伝わる」
戦略コンサル、シリコンバレーの経営者、MBAホルダーetc、結果を出す人たちは何をやっているのか?
答えは、「伝える内容を1つに絞り込み、1メッセージで伝え、人を動かす」こと。
本連載は、プレゼン、会議、資料作成、面接、フィードバックなど、あらゆるビジネスシーンで一生役立つ「究極にシンプルな伝え方」の技術を解説するものだ。
世界最高峰のビジネススクール、INSEADでMBAを取得し、戦略コンサルのA.T.カーニーで活躍。現在は事業会社のCSO(最高戦略責任者)やCEO特別補佐を歴任しながら、大学教授という立場でも幅広く活躍する杉野幹人氏が語る。新刊『1メッセージ 究極にシンプルな伝え方』の著者でもある。

「会議が長引く人」は、いったい何がダメなのか?
会議を忌み嫌う人は多い。中には「今日の会議も最悪だったな」と飲み屋で愚痴って溜飲を下げる人たちもいる。
しかし、それでも会議は世界中で昨日も今日も開かれているし、明日も開かれるだろう。組織がこの世にある限り、これからもなくなることはないはずだ。
なぜならば、会議を代替するような、組織横断で問題に解決策を見出す方法が見つかっていないからだ。なので、会議は減らすことはできてもなくなることはない。
忌み嫌ったり溜飲を下げたりするのではなく、それをどう効率的にし、それをどう効果的にするかに力を注いだ方がよい。実際、仕事ができる人は、問題解決のために会議を有効に使っている。
仕事ができる人は「論点」が言語化されている
以前にコンサル時代に、クライアント企業の全会議体の改革をするプロジェクトを担当した。
その中で「よい会議」と言われているものと、「よくない会議」と言われているものを幅広く分析したことがある。
いろいろと違いはあるが、一番の違いは、会議での「論点」が言語化されて共有されているか否かだった。
仕事ができる人が会議の主催者になったときに、会議の当日に欠かさずしているのは、会議で結論を出したい論点をみんなに示すことだ。
結論を出したい論点が言語化されて共有されているからこそ、参加者たちはどうでもいいことをいろいろ言ってしまうことがなくなり、脱線することもなくなる。
自分の意見をピンポイントで、シンプルな1メッセージとして伝えやすくなる。みんなが論点に向かって意見をシンプルに伝えられるようになると、会議での議論が建設的になる。結果として、会議でより早く、よりよい結論が得られることになる。
自分が会議の主催者だったときに、参加者から意見をもらいたい論点を言語化して共有することは、人によっては、恥ずかしく感じるかもしれない。
自分一人では答えが出せないと白状しているようなものだからだ。
でも、それでよいのだ。会議とは、そもそもが、二人以上で協力し合わないと解決できない問題を解決するために、みんなに集まってもらっているものだからだ。むしろ、自分一人でもう答えが出ているのにみんなを招集していたとしたら、時間泥棒だと思った方がよい。
恥ずかしながらずに会議の「論点」を提示しよう
その気付きを得てから、わたしは、自分が主催する会議では、開始時間の前に会議室に一人で入り、ホワイトボードに論点を言語化して書き記し、それから会議をスタートしたりした。
それは、自分自身では論点に答えを出せていないという白状に近いが、そうすることで、参加者から論点にピンポイントの1メッセージで、より多くのアイディアをもらえるからだ。
会議はなくならない。会議を忌み嫌ったり溜飲を下げたりするのではなく、会議を有効活用してみよう。
そのためには、会議の主催者となったら、恥ずかしながらずに、自分に答えがまだないと白状し、自分から論点を言語化してみんなに共有しよう。
きっと、みんなからピンポイントの1メッセージで問題解決に資する答えが集まるようになるはずだ。
1メッセージは、伝えるときだけに工夫するものではない。1メッセージは、もらうときにもいろいろな工夫ができるのである。
(本原稿は『1メッセージ 究極にシンプルな伝え方』を一部抜粋・加筆したものです)