「音楽と数学の不思議な関係」とは写真はイメージです Photo:PIXTA

「数学と音楽」一見、畑違いのようだが、実は驚くほど深く結びついている。そう語るのは、人気アイドルグループFRUITS ZIPPERの「わたしの一番かわいいところ」「NEW KAWAII」など数々のヒット曲を出し続ける作詞作曲家・ヤマモトショウだ。音の高さやリズム、旋律や和音に潜む「数学のルール」。そこに秘められた「音楽と数学の不思議な関係」とは。※本稿は、ヤマモトショウ『歌う言葉 考える音――世界で一番かわいい哲学的音楽論』(祥伝社)の一部を抜粋・編集したものです。

東大理学部からはじまった
ヒット曲を手がける作詞作曲家の遍歴

 大学で哲学を専攻していた私は、その前に理学部の数学科というところに所属していました。

 私の進学した東京大学は、入学時には理科1類とか文科3類といった感じで学科がざっくりと分かれていて、3年生に進級するタイミングで成績順に好きな学科に進む、というようなシステムになっています。私は理科1類に入学して、そのあとに数学科に進みました。

 さらにその後、文学部に転部し卒業して、次は音楽家になったので、一般的な分類でいえば、「理系」「文系」「芸術系」のすべてのジャンルを通ってきていることにもなります。

 もちろん、すべてを究めたというようなことはありえないのですが、数学の高等教育を受けたあと、音楽を仕事にしている身で話せることがじつは色々とあるのではないかとこれまでも思っていました。

 とくにプロフィールなどで、当初数学を専攻していたことを話すと、かなり多くの場面で「数学と音楽という、まるで違うものをやっていて驚きだ」とか、「とにかく数学が苦手だった」という話をされます。

 音楽の仕事をしている人でもそれは非常に顕著で、中学生、高校生くらいの頃の数学の授業が嫌だったというような話はよく聞きます。

中世ヨーロッパから
音楽の授業は存在した

 しかし端的に言って、私は「音楽をする人は数学も向いている」と思っています。そもそも、数学と音楽にどんな関係があって、なぜ突然こんな話が始まるのだろうと思う方も多いかもしれませんが、少し騙されたと思って読んでみてください。