
自由奔放な料理スタイルとユーモアあふれるキャラクターで、テレビやSNSで絶大な人気を誇る平野レミさん。レシピに縛られず、独自のひらめきで大胆なアレンジを加えていくその姿は、まさに天才的。ときに予想外の手法をとりながらも、料理がおいしく仕上がるのはなぜなのか?※本稿は、今年3月に復刊された平野レミさんの初エッセイ『ド・レミの歌』(ポプラ社)の一部を抜粋・編集したものです。
多忙で彼氏もたくさんいたが
夫とインスピレーション婚
私は2年半前に結婚した、まあまあ新品の主婦。結婚する前はラジオの仕事をしたり、シャンソンを歌ったりしていた。
仕事は、めちゃくちゃ楽しくて、どういうふうに楽しいかというと、好きなことを何でもかんでもおかまいなしにしゃべって、それでもお金をもらえたから、これでお金もらえるなんて世の中まちがってるんじゃないかしらと思ったほどだった。
放送コードにひっかかるようなことも言っちゃって、ディレクターははらはらしていたらしいけれど、私はコードのことなんか考えもしなかった。私がやってたラジオの仕事は、放送の始まるぎりぎりの時間に行って、打ち合わせもなしでいきなりしゃべっちゃうから、時間も楽だった。
ラジオに比べると、テレビの仕事は5倍も時間がかかる。本番と同じことを何度も何度もやらされる。誰かがダジャレを言って、それを私が「ああおもしろい」とアハハと笑うようなやつも、何度もやるから、もうシラケちゃって、OKが出たときにはおもしろくもおかくしもなくなっているのだ。