司之介が「無類の○○好き」連呼
トキが帰宅し、傅と会っていたと聞くと、フミ(池脇千鶴)と司之介(岡部たかし)の様子がおかしい。
「どうして」
「ほんとにほんとにそれだけか」
ランデブー=あいびきへの反応というより、何か別のことに動揺したように、トキから距離をとりぼそぼそ語る父母。でも極狭な部屋だから隠しようもない。
「我が子のようにかわいがってくださるのはどげんすて」とトキの疑問に「無類の親戚好き」と司之介は答える。
「なに無類の親戚好きって 聞いたことない」
「かわいいってことだ」とごまかす司之介。「無類のおトキ好き」「無類の夕飯好き」と「無類」尽くしでトキの疑問を消し去ろうとする。そのうち「好き好き夕飯」になってしまった。
「無類の○○好き」の場面は脚本の妙と岡部たかしのお茶目な演技がハマって愉快だった。
それから半年ほどたって、とうとうトキのお見合いが決まった。松野家と同格の中村家との縁談。
トキはあでやかな晴れ着(タエが用意してくれたのだろうか)。司之介と勘右衛門(小日向文世)は裃(かみしも)でばりっと正装。でも、時代錯誤な武士のいでたちに呆然とする中村守道(酒井大成)と中村弥七(菰池剛史)の親子。
まげをご立派と褒めるが「身震いしております」という言葉の裏にはネガティブなものが感じられる。でも司之介は気づいていない。微妙な空気を感じた傅が話を進めようとして。この流れも地味にいい感じだ。
トキは茶を運ぶ。ここでひと目、相手の顔を見るのが目的でもある。狐と狢(ムジナ)と思えば緊張しないとタエに言われ、「狐と狢、狐と狢」と繰り返しながら、歩き出すトキ。
「まるでからくり人形ね」と笑われる。
高石あかりのからくり人形の動きが最高だった。「狐と狢」が耳に残って離れない。
