早くも神回!借金王者・司之介(岡部たかし)の“悪びれないおかしみ”はハマり役〈ばけばけ第4回〉『ばけばけ』第4回より 写真提供:NHK

日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月曜から金曜までチェックし感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年半続けてきた著者による「読んだらもっとドラマが見たくなる」連載です。本日は、第4回(2025年10月2日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)

川に遺体が上がった。まさか司之介?

 第4回にして、いわゆる神回(最近あんまり使わなくなった言葉だけど)だった。

 司之介が家を出てから10日が経過した。これは心配。その日、なにやら橋の下が騒がしく、トキ(福地美晴)が近づいてみると、土左衛門が上がっていた。

 かぶせた布からのぞく足は男性のものだった。まさか父上? 野垂れ死にしてしまったのか。

 布をとると違う人で思わず「よかった」と声を出すトキ。
 すると、遺体の家族が「なんがよかったかね」と睨む。
「ごめんなさい」

 駆けつけてきたフミ(池脇千鶴)も第一声が「よかった」。

 家族「なんがよかっただ」
 フミ「ごめんなさい」

 母娘そろって不謹慎ではあるが、ふたりの気持ちもわかる。

 第4回の秀逸なところはまずここ。不謹慎なことをくすりと笑える手つきで描く。なかなか難しいところをさらりと行う脚本・ふじきみつ彦の手腕。

 勘右衛門(小日向文世)は「武士には武士の死に方がある」とウサえもんに話しかけている。
 武士の死に方というと、やっぱり潔く切腹?

 父不在の食卓。今日も今日とてしじみ汁。「あー」「あー」と何度声を出しても、叱る人がいなくてさみしいトキ。

 トキは父を探して町を駆ける。
 野津サワ(小山愛珠)が「大丈夫」と励ますが、本当かどうかなんてわかるわけもない。先述の亡くなったのが自分の家族でなければつい「よかった」と胸をなでおろしてしまうのも人間の性(さが)。根拠なく「大丈夫」と励ましてしまうのもまた同じく。

 トキは橋の上でお参り。サワも一緒に手を合わせる。

 すると、中州に人影が……。