「お金は大切だけど、お金ばかり考えて一生を過ごしたくない!」
物価上昇、株価変動など、お金の不安が尽きない時代。どうすれば、自由に豊かに生きられるのか? 娘のために「お金と投資」のアドバイスを綴った人気ブログを書籍化したのが『改訂版 父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』(ジェイエル・コリンズ著)だ。投資歴50年を通じて「経済的自立=人生の選択肢を持つこと」と説く著者が、時代に左右されない投資戦略と人生哲学を紹介している。
作家の橘玲氏は「お金持ちになるには、シンプルな方法がひとつあるだけ。あなたはなぜ、それをしないのか?」と評し、『サイコロジー・オブ・マネー』著者モーガン・ハウセルは「美しくシンプルな本だが、人生に深い影響を与える」とコメントを寄せている。約10年ぶりに改訂となるベストセラーの本書から、その内容の一部を特別公開する。

【父が娘に伝える】給料が安くても「お金持ち」に着実にたどり着く、たった1つの方法Photo: Adobe Stock

誰もが大金持ちになって引退できるか

「誰でも大金持ちになって引退できるでしょうか?」という、気になる質問が私のブログに届いたことがあります。それ以来、その質問が頭から離れなくなりました。

 簡単に回答すれば、条件付きで「イエス」となります。

 中流の給与所得者なら、誰でも引退するまでに大金持ちになることは可能です。実際に全員がそうなるわけではありませんが、数字的には無理ではありません。

100万ドルを手にするロードマップ

 複利計算を考慮すれば、わずかな資金を投資して100万ドルまでは増やすことができます。

 1975年1月に1万2000ドルをS&P500に投資し、その後配当を再投資するだけで、2014年6月に100万ドルを突破していたはずです。そのまま続ければ、2024年末には380万3384ドルになっている計算です。

 1万2000ドルが手元にないなら、1975年1月から毎月130ドル、つまり年間1560ドルを投資し続ければ、2014年11月には100万ドルを超え、2024年末には355万2096ドルになる計算もあります。

 毎月の投資を20ドル上乗せして150ドル、年間1800ドルにすれば、2024年末には400万ドルを超えます。100万ドルに加えて、別荘とテスラとコルベットが買えますね。

 過去50年間に市場は上下動を繰り返していたことを考えると、面白い結果だと思いませんか。

 ただし、複利で増やすには時間が必要です。若いときに始めることが重要です。もちろん、目標は100万ドルでなくてもかまいません。

 冒頭の質問は、正しくは「経済的自立を誰もが勝ち取れるか」と尋ねるべきでしょう。

(本稿は、『改訂版 父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』を一部抜粋・編集したものです)

ジェイエル・コリンズ JL Collins

ファイナンシャル・ブロガー(ブログ「jlcollinsnh.com」主宰)
1975年から投資を行っている個人投資家。何度も転職する中で、収入の範囲内で生活するようになり、気がつけば夫婦どちらも働かなくても暮らせるようになっていた。実践したのはシンプルな投資だけ。収入の半分を投資、借金をしない、バンガード創業者ジャック・ボーグルの教えに従ってインデックスファンドに投資する。これだけで経済的自由を手に入れた。
2011年、娘宛てに「お金と投資」についての手紙をしたためる。その内容をブログに発表すると、世界中から注目されるようになる。