不健全な考え方とは?
「今の環境を失ったらどうしよう」という強迫的な不安を抱えやすいかもしれません。
しかし、本質を考えてみてください。私たちは、何か組織や環境があって初めて存在するのではなく、まず「ただそこに存在している」のです。野良猫や野鳥と同じように、生き物として存在しています。その上で、「自分は今日という一日をどう過ごすのか」を考えるべきです。
「何かがないとダメ」という状態は、あまり健全とは言えません。「何かがあればより良いけれど、何もなくても今日一日を楽しめる」という心の状態を目指すことが理想です。
自分らしく働くためのマインドセット
結論として、仕事でメンタルをやられやすい人は、仕事に自分の大部分を置きすぎています。
昭和の時代のように、新卒で入った会社に定年まで勤め上げるのが当たり前だった頃とは違い、今はもっと自由に身動きが取れる時代です。「この仕事は自分に合わないな」と感じたら、変えるという選択肢も持てます。
大切なのは、常に「出口」を意識しながら働くことです。「仕事がすべて」ではなく、「自分という存在がまずあり、自分のライフスタイルに合った仕事を『選ぶ』」というマインドセットで生きていくことが、ご自身のメンタルを守る上で非常に重要になります。
仕事とプライベートは二者択一ではない
先日、ある芸能人の方が、「結婚と仕事のどちらかを選ばなければならず、仕事を選んで恋人と別れた」というニュースを見かけました。もちろん、その方ご自身の状況があるので、他人がとやかく言うことではありません。
しかし、もしその話が事実だとしたら、「仕事か、結婚か」という二者択一の考え方には少し疑問を感じます。本来、自分の人生や生き方という大きな枠組みが先にあって、その中で仕事やプライベートをどう配分していくか、という問題ではないでしょうか。
これらは二者択一で考えるべきものではない、と私は思います。
仕事との「心理的な距離」を上手に保つことが大切
たとえ今、仕事がうまくいっていたとしても、「仕事がなくなったら自分は終わりだ」という不安を抱えながら生きていては、心から幸せを感じることはできません。
仕事でメンタルをやられないために最も大切なこと。それは、仕事に対する期待値を調整し、少し心理的な距離を置いてみることではないでしょうか。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。








