メンタルが強い人と弱い人の決定的な違い
誰にでも、悩みや不安は尽きないもの。とくに寝る前、ふと嫌な出来事を思い出して眠れなくなることはありませんか。そんなときに心の支えになるのが、精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方(ダイヤモンド社)など、累計33万部を突破した人気シリーズの原点、『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)です。ゲイであることのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症――深い苦しみを経てたどり着いた、自分らしさに裏打ちされた説得力ある言葉の数々。心が沈んだとき、そっと寄り添い、優しい言葉で気持ちを軽くしてくれる“言葉の精神安定剤”。読めばスッと気分が晴れ、今日一日を少しラクに過ごせるはずです。

【精神科医が教える】「これ、自分のことだ…」と思った人は要注意! 仕事でメンタルをやられない方法Photo: Adobe Stock

仕事でメンタルをやられない方法

今日は、「仕事でメンタルをやられない方法」について、私なりの考えをお話ししたいと思います。

最近、YouTubeのトレンドなどを分析すると、「仕事でメンタルをやられない方法」というキーワードが人気を集めていることがわかります。多くの方が関心を持っているこのテーマについて、精神科医の視点から解説いたします。

メンタルをやられやすい人の特徴

私が考える、仕事でメンタルをやられやすい人の特徴。それは、自分の気持ちを「仕事」に置きすぎている点にあります。

自分らしさやアイデンティティのほとんどを仕事に置いている人は、メンタルが不調に陥りやすい傾向があります。なぜなら、仕事がうまくいかなかった時や、評価が下がった時に、逃げ場所がなくなってしまうからです。

自分の人生の9割以上を仕事に注ぎ込んでいたりすると、「仕事がダメになったらどうしよう」という不安が、常に心を支配してしまうのです。

「仕事が人生のすべて」がもたらす危険性

そもそも、私たちの人生において、仕事はあくまで一つの要素に過ぎません。自分という存在がまず中心にあり、そこにはプライベートの顔、仕事の顔など、様々な側面があるはずです。

それにもかかわらず、仕事という一要素に全力を注ぎ込んでしまうと、常に足元が不安定な状態になります。「これがダメになったら、自分は終わりだ」と感じ、仕事のプレッシャーがそのまま人生のプレッシャーとしてのしかかってくるのです。

「仕事=人生」という考え方は、少し違うのではないかと私は思います。仕事に一生懸命なのは素晴らしいことですが、仕事が人生のすべてではありません。もし、そのような方が定年退職を迎えたり、仕事を失ったりしたら、本当に人生そのものを失ったような気分になり、計り知れないダメージを受けてしまうでしょう。

この問題の本質は、仕事を失った時に起こるのではなく、それ以前の「仕事に自分のアイデンティティのすべてを置いてしまっている」という状態そのものにあるのです。

「何もない自分」こそがスタートライン

そこで大切になるのが、「仕事をしていない自分とは、一体何なのだろう?」と、あらかじめ考えておくことです。

社会に出る前の、学生時代のような「モラトリアム(猶予期間)」を経験し、特に何かに所属していなくても楽しめる人は、このような状態に陥りにくいかもしれません。一方で、学生時代から常にどこかに所属し、挫折や無駄な経験をすることなく順調に社会人になった、いわゆるエリートのような方は注意が必要です。