「株価チャートのクイズに答えるだけで株のセンスが身につく」――そんなユニークなスタイルで人気を集めているのが『株トレ──世界一楽しい「一問一答」株の教科書』です。発売以来、個人投資家の間で評判となり、多くの読者から高評価が寄せられています。著者は、ファンドマネジャーとして2000億円超を運用した経験を持つ楽天証券の窪田真之さん。この記事では、編集担当の視点から本書のポイントをお伝えします。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

含み損を放置する人ほど、資産を減らす
チャートを使ったトレードで勝つための鉄則として、窪田さんが強調しているのが、「下がっている株は、さっさと損切りする」ことです。
株で勝てない人ほど、「下がっている株を売らない」という姿勢を貫きます。なぜなら、損失を出すことへの抵抗が強すぎて、含み損を「まだ確定していないのだから、損ではない」と考えてしまうのです。
しかしその結果、含み損はさらに膨らみ、最終的に大底で手放さざるを得なくなる。これが典型的な大損する人のパターンです。
投資で勝つためには、含み損も確定損失も、同じ「損失」だと理解し、出血を早めに止めることが欠かせません。下がっている株は、迷わず損切りすることが重要なのです。
あなたは、どちらの株を売る?
例えば、次のケースを想像してください。
あなたは、D社とE社の2社の株を両方とも1,300円で買って保有しています。

直近で、D社は1,250円付近まで急落し、E社は1,450円付近まで急騰しています。
このような状況で、どちらの株を売ればよいでしょうか?
損切りが先か? 利確が先か?
多くの個人投資家は、「E社を利確し、D社を持ち続けよう」と考えます。
しかしチャートを使ったトレードで勝とうとするなら、正しい判断は逆です。このようなケースでは、D社を損切りし、E社を持ち続けるべきなのです。
D社のチャートでは売買高が急増して、株価が急落しています。
つまり、多くの投資家が「D社株はいらない」と考えて、売り急いでいる状況です。
おそらく何らかの悪材料が出ており、このまま人気が低下しているD社の株を持ち続ければ、さらなる株価下落に巻き込まれる可能性が高いです。
一方で、E社は、株価と売買高がともに伸びています。
つまり、投資家たちが「欲しい」と思っている株なのです。ここで手放すと、上昇トレンドの波に乗り損ねてしまうのです
チャートを使ったトレードが上手い投資家ほど、利益が出ている株を持ち続けて、下がっている株はすぐに切ります。このシンプルな行動が、資産を増やせる人と、資産を減らす人を分ける最大のポイントです。