もちろん、保護者が子どもの成長を見たい気持ちは分かります。しかし、その方法は、年に数回の完成された「発表会」である必要はないはずです。日々の中で子どもたちが見せた表情や発した言葉、作り上げた作品などを、写真を交えたニュースレターとして、定期的に保護者に届けるなどで十分ではないでしょうか。
「今日、○○ちゃんが初めてハサミを上手に使えました」「○○くんが、お友達とこんなやり取りをしていましたよ」といった、日々の細やかな報告こそが、イベントでの一場面よりも、よほど強く、その子のありのままの成長物語を伝えてくれるものです。
園選びで絶対大事な基準は?
見学しないと分からない真実
見学に行った園がイベントの多さに追われる環境かどうかを見極める、シンプルな基準はあるのでしょうか?
私は保育の専門家ですが、3人の子どもを育てる母親でもあります。私の実体験も踏まえて、園選びで最も大切にしている基準を紹介しましょう。それは、園を訪れた時に「子どもたちと先生の笑顔」が見られるかどうかです。
パンフレットや説明会では、どんな園でも立派な教育理念や充実したカリキュラムをアピールするものです。一方、実際に園を訪れた時、もし子どもたちが何かのタスクをこなすのに必死で、先生たちの表情にも余裕がなかったら……どんなに素晴らしい理念も、何だか表面的だなあと感じます。そして、子どもや先生の心中を察して、残念な気持ちになるのです。
親の自己満足ではなく、子どもたちのためにこの基準で選んだ園では、実際にうち子たちは無理なく、ゆったりと伸びやかに毎日を送ることができました。
園選びの際は、イベントの数やカリキュラムなどの文字情報にとらわれてはいけません。見学して、実際の雰囲気を感じ取ってください。子どもたちの表情はどうか、先生たちは子どもひとりひとりと楽しそうに関わっているか――。
子どもの成長は、スポットライトを浴びた舞台の上だけで披露されるものではありません。友だちと笑い、ケンカし、夢中になって何かを作る――何気ない日常にこそ、可能性の芽があります。可能性の芽を丁寧に育ててくれるような、質の高い「日常」を提供してくれる園を選んでください。
