イメージコントロールが広げる可能性
セルフコントロール力と並んで重要なのが「イメージコントロール力」です。私たちは日々、膨大な情報を処理しながら生活していますが、その中で「頭の中でイメージする力」は認知機能に多くの好影響をもたらします。
イメージを扱う中枢もまた、前頭前野にあります。したがってイメージコントロールは、セルフコントロールと同じく前頭前野のトレーニングとなり、認知機能全般を高める役割を果たします。
記憶力の面でも効果は明らかです。たとえば「リンゴ」という文字を読むだけよりも、赤く艶やかな果実を思い浮かべた方がはるかに記憶に残りやすい。視覚情報は強い刺激となり、エピソード記憶や長期記憶と結びつきやすいのです。
問題解決能力にも直結します。チェスや将棋の名人が盤面を何手も先まで読めるのは、リアルなイメージを脳内で展開できるからです。シミュレーションによって結果を予測し、最適な判断を下せるのです。

集中力や注意力も向上します。目標や作業の姿を明確に描くことで、取り組むべきことがはっきりし、意識をそこに集中させやすくなります。多くのスポーツ選手が試合前にイメージトレーニングを行うのはそのためです。
さらに創造性の源泉もイメージにあります。現実には存在しない要素を組み合わせ、新たな構造を生み出す想像力が、芸術やデザイン、物語創作の基盤となります。
また、自然の風景を思い浮かべるだけで自律神経が整い、ストレスや不安が和らぐことも広く知られています。