スマホ・テレビ・ゴシップ……日常生活の99%はムダだらけ。しかし、ムダを捨てるためにいくら効率を良くし、生産性を上げても、他人の期待に応えているだけで、自分のためになっているわけではない。「依存のプロ」GoogleとYouTube出身の著者が生み出した、自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」とは? 27言語で刊行され、世界で累計30万部を突破している『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』をもとに解説する。(構成/ダイヤモンド社・秋岡敬子)

【「出社したらまずメール」は意味不明?】元グーグル社員はどうしていた?Photo: Adobe Stock

「出社したらまずメール返信」…してない?

 毎朝仕事を始めるとき、まず何から手をつけるだろうか。

 私は、とりあえずメールを確認するようにしている。

 そして、とりあえず確認したメールのおかげで、その日1日でやろうと思っていたことを忘れてしまう。

 あらかじめ何となく考えていたはずの予定が、朝のメールチェックで無になるのだ。

 なぜなら、メールがくるときは、何かしらのタスクが付随していることが多い。

 一度メールを確認してしまうと、タスクが増える一方なのである。

労働時間の大半は「メール」に奪われている

 このことは、グーグル出身のジェイク・ナップとユーチューブ出身のジョン・ゼラツキーが、多忙な毎日を乗りこなすための戦略をまとめた『とっぱらう』にも書いてある。

マッキンゼー・グローバル・インスティテュートの2012年の調査によると、オフィスワーカーが本来の仕事にかける時間は全体のたった39%で、残りの61%の時間は連絡や調整、つまり仕事のための仕事に費やされ、メールがその半分を占めていた。まさに多忙中毒だ!
――『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』より

 メール対応がいかに私たちの貴重な時間を奪っているかは、この研究結果を見ても明らかだ。

 最近では、メールの返信を打つたびに、内容に失礼な表現が含まれていないかをAIに添削してもらうというステップも加わり、なおさら時間が増えたように思う。

 1日の始まりを容易く崩壊させるメールチェックをせずに、彼らはどうしていたのだろうか。

メールは「1日の終わり」にする

 そんなときに、彼らが試していたのは、メールは「1日の終わり」にすることだ。

朝イチでメールをチェックして他人の優先事項に振り回されるのはやめて、メール処理は1日の終わりにしよう。そうすれば仕事がはかどるゴールデンタイムを、ハイライトなどの大事なことに使える。
――『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』より

 つまり、朝はまず「メール処理以外のことをする」ということだ。

 マリー・アントワネットが「パンがなければ、ケーキを食べればいいじゃない」と言ったように、「メールチェックがイヤなら、他の仕事をすればいいじゃない」くらいの発想転換が重要だということだ。

 だとしても、こんなに悲しい気づきはあるだろうか。イヤな仕事の代わりに、別の仕事で気を紛らわせるなんて……。

 まあ、「メールは1日の終わりにする」だけで、仕事の大半を占めているメール対応のストレスから解放されるなら、お安いものかもしれない。

意外かもしれないが、メールチェックの回数を減らした人は、メール処理の効率が上がった。チェックの回数を1日3回に限定したところ、その週、ふだんとほぼ同数のメールに返信したが、所要時間は20%少なかった。メールチェックの回数を減らすことによって、時間が生まれたのだ。
――『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』より

 私はクセですぐ受信箱を確認してしまうので、最近はメールの通知を切ることにしている。

 そうすると、集中したいことに取り組めて、自分のタイミングでメールに対応することができるようになった。

 恐らく、「メールは1日の終わりにする」にも、似たような効果があるのではないだろうか。

 1日を気持ちよく始めるためにも、変な優しさで自分の仕事を増やさないためにも、「メールは1日の終わりにする」というワザを試してみる価値はあると思う。

(本記事は、ジェイク・ナップ ジョン・ゼラツキー著『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』をもとに作成しました。)