ドナルド・トランプ米大統領は2期目の就任前、州裁判所、連邦裁判所、議会上院で繰り返し裁判にかけられた。任期終了後には、オランダ・ハーグの国際刑事裁判所(ICC)という別の場で訴追される可能性がある。米国はICCに関するローマ規程に署名しておらず、同裁判所の加盟国ではないが、ICCは、加盟国に対するトランプ政権の国外行為について管轄権の根拠を見いだすことができる。ベネズエラの麻薬テロ組織の密輸船に対する攻撃は、ICCによる訴追につながり得る事案の一つだ。米海軍が密輸船を最初に撃沈した直後、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチの代表を務めたケン・ロス氏はICCの介入を支持した。同氏はX(旧ツイッター)に、「トランプ氏は、ICCがフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ前大統領を訴追した際に指摘したのとまさに同じ種類の行動に出た。麻薬密売容疑者の即決処刑を命じたのだ」と投稿した。ベネズエラはローマ規程の締約国であり、このためICCの見解では、同裁判所は、攻撃に関与した米国の当局者や軍人に対する管轄権を有しているという。ICCは既に、加盟国の国旗を掲げた船舶への一度の臨検を根拠に、非加盟国(イスラエル)に対する捜査を開始している。従って、必要な前例はそろっている。