社会を支える「ボリュームゾーン」

中原:ちなみに、Fラン大って全大学のうち何%くらいなんですか?

びーやま:学部によっては偏差値35以上をキープしている大学もあるので、やや甘めではありますが、全体の2~3割じゃないかと思います。正規分布の場合、偏差値35未満の割合は6~7%になるはずですが、実際の入試偏差値は正規分布からズレていて、底辺層ほど“厚み”があるんです。

 加えて、判断の仕方次第ではFラン大の割合はもっと多いはずだという人もいると思います。

中原:ということは、Fラン大出身者は、大卒者の中でもけっこうなボリュームゾーンですよね。社会の「マス」であり、とても大事な層です。

「大人の学び」を語るとき、東大・早慶などの「上澄み数パーセントの学び」ばかりに目を向けていては、どうしても偏りが出ます。「社会をしっかり支える層」が学び続けられるかどうかが、めちゃくちゃ大事です。なので、これまでの学歴とは切り分けて、もっと「学び」を身近なものとして捉えていいんじゃないかなと。

びーやま:その人たちが学べないかぎり、日本全体にとっても損失ですよね。僕もそこに向けた発信をしていきたいです。

中原:びーやまさん、まさにそれが本質ですよ。あなたたちの発信力を使って、ボリュームゾーンの人たちに届く学びのあり方をぜひ提唱してください。

中原淳・びーやま
※1:本記事ではびーやま氏、もしくは編集部宛に届いた悩みを扱っております。
中原淳
立教大学経営学部教授。立教大学大学院経営学研究科リーダーシップ開発コース主査、立教大学経営学部リーダーシップ研究所副所長などを兼任。博士(人間科学)。1998年東京大学教育学部卒業。大阪大学大学院人間科学研究科で学び、米マサチューセッツ工科大学客員研究員、東京大学准教授などを経て現職。「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人材開発・組織開発・リーダーシップ開発について研究している。著書に『M&A後の組織・職場づくり入門』『組織開発の探究』(共著、HRアワード2019書籍部門・最優秀賞受賞)、『研修開発入門』(以上、ダイヤモンド社)、『職場学習論』『経営学習論』(以上、東京大学出版会)ほか多数。

びーやま
教育痛快バラエティ番組・YouTube『wakatte.TV』のツッコミ担当。早稲田大学教育学部卒。高校時代の偏差値は37だったが、1年間の浪人を経て早稲田大学に入学。大学時代は起業・自主退学・復学など、さまざまな経験をしたのち、大学受験のすばらしさに気づき現在に至る。甘いルックスと鋭いツッコミ(たまにポンコツ)で視聴者の心を掴んでいる。決め台詞は学歴モンスターの相方・高田ふーみんを制止する「ヤメロオマエ」。