イスラム組織ハマスの突撃隊が2年前、パレスチナ自治区ガザからイスラエルとの境界を越えて侵入し、民間人の男性・女性・子どもを拉致し、性的暴行を加え、殺害した。イスラエルの苦い経験は、米国が自らの「審判の日」を迎える前に学ぶべき教訓を示している。最も重要なのは、仮定の戦争が実際に起こり得るという点だ。たとえ知識レベルで備えていたとしても、われわれは相対的な平和が何年も続いたことで誤った安心感に陥っている危険がある。イスラエルの防衛当局はハマスが本格的な侵攻を仕掛けるとは本気で信じていなかった。当局はガザについて、慢性的だが対処可能な問題であり、一般市民の日常の懸念から程遠い、外交官や情報機関が扱う問題だと見なしていた。イスラエルの政治家や軍幹部がイラン主導の「イスラム主義の枢軸」との公然の衝突について語る際も、米国の政治家や軍幹部が中国や台湾危機について語る時とよく似た言い方をしていた。つまり、自国の防衛戦略の基準となる最大の脅威であり、最も起こり得る試練なのは確かだが、結局のところ「明日の問題」と捉えていた。そして、その明日が訪れた。
【寄稿】ハマス奇襲は中国巡る米国への警告だ
台湾を巡る紛争は起きないという油断はないか
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