これまで、新卒で入社したQさんには広報の全体像を把握してもらうため、イベントの手伝いや新商品発表に至るまでの下準備を手伝ってもらっていました。しかし、彼女には、そのような補助的な業務しかできないことが不服だったようです。

 杉田さんや部署の先輩メンバーは、Qさんに仕事を指示するときには、その意図や目的を丁寧に説明するようにしていました。なので、彼女は理解や納得をしたうえで仕事をしているものと思っていましたが、本人の口から出た言葉は、「本当はもっと私の能力を活かせる仕事がしたいんですよね」というものでした。

 しかし、杉田さんから見れば、Qさんの能力と経験からみて、任せられる業務は限られていたといいます。それで、「もう少し今の仕事で勉強しながら、少しずつ挑戦していきましょう」といった類いのことを言うと、彼女から「うちの部署では、なんか私が下みたいな感じですね……」という言葉が返ってきました。

 杉田さんが驚いて、「え、下ってどういう意味なの?」と聞いたところ、「いえいえ、なんでもないです。気にしないでください」と返事したそうです。

 結局、この面談の後もQさんの勤怠は遅刻が多いまま変わらなかったこともあり、杉田さんから筆者に、Qさんについて相談がありました。ひと通り話を聞いた後、Qさんの遅刻が続いていることについて、どういったことが原因なのか、悩みごとがないかなど、筆者が彼女本人と面談をすることになりました。

仕事以外では元気だが、
身体が重くて起きられない

 Qさんは、話してみると自分の考えをハキハキ話すタイプで、筆者との面談では元気がないという印象ではありませんでした。しかし、出勤日の朝になると、とにかく起床がつらく身体が重い感じがして、起き上がれないほどだということです。

 このような症状は休日には出ないようで、本人は「たぶん、自分のスキルを活かせない仕事でストレスが限界にきているのだと思います」と説明していました。

 また、職場の人間関係について、言いにくいのですが……と前置きしたうえで、「上司(杉田さんのこと)は、私よりも学歴が低いんですよね。でも上から目線な感じが強くて」とも話していました。「杉田さんは、Qさんの上司なので指導する立場だけれど、言い方が厳しいということ?」と聞き返しましたが、「杉田さんでは、私の能力を活かせないような気がします」という回答でした。