新型うつ病は、Qさんのように仕事から離れると飲み会や旅行を楽しむほど元気なケースもあるため、「単に甘えているだけでは?」と誤解されがちです。職場で人間関係のトラブルを抱えていることも少なくありません。

 しかし、本人は極端な気分の浮き沈みや鉛様麻痺(えんようまひ:鉛のように身体が重く感じる)に苦しんでいることもあり、社会生活に深刻な影響があります。受診のタイミングによっては、Qさんのようにうつ状態やうつ病などと診断されることもあります。

 ただ、新型うつ病は必ずしも抗うつ薬が奏功するわけではなく、対応が難しいといわれています。背景にはパーソナリティ障害などが関係していることもあり、対応が難しい疾病だといえます。

理想に現実が追い付かず仕事のときだけ“うつ状態”
上司を憂鬱にする部下たち

 上司や職場は、新型うつ病の社員に対して、どのように対応すればよいのでしょうか。

 新型うつ病が疑われるケースでは、職場側は本人のつらさに共感し、どんな希望があるかヒアリングしながらも、すべて希望通りにすることは避けたほうが賢明です。

 特別扱いすることで本人の自己愛を助長させることがあり、他の社員との間で不公平感も出てしまいます。上司や人事担当者、産業保健スタッフなどで、就業規則の枠内で可能な対応方法を探って共有し、社内で一貫した方針を取る必要があります。

 また、SNSの投稿などについては、本人ときちんと話し合うことが必要でしょう。裏アカについては、それが本人の作ったものだと疑うことで、また別の問題を引き起こす可能性があります。社内の機密事項を漏らしたり、他の社員のプライバシーを侵害したりした場合に対する会社の対応方針など、一般的なルールとしてきちんと説明して、説明した証拠を残しておくことが必要でしょう。

 今回のQさんへの対応については、彼女が復職した時点でSNS投稿などの件について、正式に話し合う機会を設けるとのことでした。

キーワード:他責傾向、新型うつ