部下を犯人のように追いつめる上司写真はイメージです Photo:PIXTA

部下にとって上司の嫉妬ほどやっかいなものはありません。上司は部下の仕事ぶりを評価する立場ですが、人事権を握っている場合もあります。上司に嫌われたら、とんでもなく低い評価をつけられたり、それらしい理由をつけて仕事から外されたりするかもしれないのです。もし、あなたが嫉妬深い上司の下で働くことになったら、上司はあなたを憂鬱にすることは間違いないでしょう。※本稿は、舟木彩乃『あなたの職場を憂鬱にする人たち』(インターナショナル新書)の一部を抜粋・編集したものです。

「全部お前だろ!」まるで部下を犯人扱い…
パワハラ上司への対処法はあるか

 上司のなかには、仕事上のミスやコミュニケーション上の行き違いがあったときなど、決して自分の非を認めず、すべて部下のせいにする人がいます。部下が自分の非を認めないと、認めるまでまるで刑事の取り調べのように追いつめる上司もいるので、部署は常にピリピリとした雰囲気になります。

 いつも緊張を強いられる部下は、強いストレスにさらされます。このような職場で働くときは、どのようにすればよいのでしょうか。

【事例:部下を犯人のように追いつめる上司】

 沢田さん(仮名、女性20代)は、ある中小企業の総務課に所属し、役員秘書を兼務しています。彼女は控えめな性格ですが丁寧な仕事をするので、社内の評価も高く秘書として有能な人です。秘書の業務のひとつに役員室の清掃がありますが、沢田さんがいつも隅々まで掃除をするので、部屋は常に整頓されていて清潔感を維持していました。

 一方で、彼女の上司であり、秘書として仕えている役員Bさん(男性50代)は、仕事ができるタイプではなく、イライラしては周りの社員に八つ当たりするような人でした。Bさんのおかげで困っている人も多かったのですが、オーナー社長の息子であるため、同社の社員は表立っては彼になにも言えずにいました。

 沢田さんは掃除中にB役員と2人になることがありますが、彼の機嫌が悪いと部屋の空気が張りつめたようになり、息苦しくなってしまうそうです。なお、社員の間では、B役員の機嫌が悪いときは、大抵は父親である社長から役員会議などの場でなにかをきつく指摘されたり、叱責されたりした後であると言われていました。

 機嫌が悪いとき、B役員はなにかしらの理由をつけて社員に対して文句を言っては、憂さを晴らしているのです。