それぐらいすごい発明だと思います。折ったティッシュを互い違いにセットする発明。これ、ちょうど100年前に発明されました。これによって1924年に「クリネックス・ティシュー」が発売され、バク売れした、というわけです。

 この発明の前のティッシュは、ただ柔らかい紙が重なっているだけだったのですね。1枚取るのにさぞかしイライラしたでしょうね。このイライラに気づいたからこそ、ティッシュの発明が生まれたのです。イライラの数だけ発明があります。あなたは1日に何回「イラッ」としますか?キッチンで、玄関で、デスクで、電車で、車で、「イラッ」を探してみてください。

「イラッとするのは良くないことだ」

 と思っていらっしゃる方が多いのですが、人にイラッとするのはさておき、物にイラッとするのは発明にとって大事な要素なので、自分を見つめ、見逃さないようにしてください。

まずは常識を見つける
癖をつけよう

 そんなこと言っても、100年前だからティッシュを発明できたんだよ、何でもある便利な今の時代に発明なんかできないよ、と思っていませんか?そんなことはありません。

 時代が進めばニーズも進化します。フリック入力もスマホという新しい技術に対応して生まれたわけです。ティッシュのケースも、近年、捨てやすくするために畳みやすい造りにしたり、エコのためにビニール部分を排除したりしていますよね。世界の特許出願件数は右肩上がりで、発明が枯渇することはありません。

 発明をするためには常識を覆すことが必要です。でも、人は常識を常識と気づいてすらいないことが多いのです。これでは常識を覆すことはできませんよね。ですから、常識を見つける癖をつけるといいと思います。これは、「イラッとする」こととリンクしています。

「イラッとする」のに、つい流してしまうのは、「それが常識だからしょうがない」と思っているからではないでしょうか。パソコンの画面は四角い横長が常識、物を買ったらお金を払うのが常識、僕の例でいえば、スーツケースは横に開くのが当たり前という常識を壊してFLIP(編集部注:著者が発明した、棚になるスーツケース)が誕生しました。常識を覆すことで、新たな発明が生まれます。