「入社1年目の部下が突然退職してしまいました。自分なりに精一杯気にかけていたのに、なにが悪かったんでしょうか」
新刊『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』は、特別なガクチカも将来の夢もなかった普通の就活生=「脇役さん」の著者が、1000冊以上の本を読み込み、自分だけの就活戦略をつくりあげ、食品超大手を含む22社から内定を得た実体験から生まれた一冊です。
「長期インターンにも行っていないし」「自己PRで語れることがない」――。
そんな普通の就活生が、どうすれば自分に合う企業に内定を取れるのでしょうか? 就活に不安を抱えるすべての学生、そしてその姿をそっと見守る保護者の方に届けたい、内定につながるリアルな戦略が詰まった、まったく新しい就活本です。今回は、新入社員が退職する理由について著者である藤井氏が特別に書き下ろした記事をお届けします。

新卒 就活Photo: Adobe Stock

新入社員の退職理由TOP3

「入社1年目の部下が突然退職してしまいました。自分なりに精一杯気にかけていたのに、なにが悪かったんでしょうか」

こうした状況に置かれている方もいらっしゃると思います。

新卒でせっかく入った企業をなぜ辞めるのでしょうか。

ブラック企業だから? 上司の指導が悪かったから?

必ずしもそうではありません。

アデコ株式会社の調査(※)によると、新卒入社3年以内に退職した理由の上位は以下の通りです。

1位:自身の希望と業務内容とのミスマッチ(37.9%)
2位:待遇や福利厚生に対する不満(33.0%)
3位:キャリア形成が望めない(31.5%)

最も多いのは「仕事内容が合わない」という理由。

「長時間労働がきつい」「休みが少ない」「パワハラがある」といった典型的なブラック企業の要因が退職理由の上位を占めているわけではないのです。

僕が就活生と話していても、この事実を知らない人が多い印象があります。その結果「なんとなく合いそう」で企業を選び、入社後に仕事内容の不一致で苦しみ、成果も出ずに退職…という流れが繰り返されているのです。

仕事内容の適性がキャリアを左右する

僕は、自分に合う企業を選ぶうえで「仕事内容の適性」を最重要視すべきだと考えています。

それはデータが示す退職理由だけでなく、適性がある仕事の方が圧倒的に成果を出しやすいからです。

「自分に合う仕事」とは何か。具体的には、他人より少しうまくできる、あるいは苦痛を感じずに続けられる仕事です。

少しうまくできるから成果が出やすい。苦痛がないから継続できる。

この「差分×継続」が積み重なり、大きな実績につながっていきます。

結果が出ればやりがいが生まれ、さらにモチベーションが高まり、また成果が出る。こうした正のスパイラルに入ることがキャリア形成のカギだと思います。

だからこそ、就活生と企業の双方が「仕事内容の適性」の重要性をもっと理解すべきなのです。

就活生は、中途求人の募集要項やYouTubeの「1日密着動画」などを参考に、具体的な仕事内容をイメージする。

企業は、適性検査の実施に加え、会社説明会や面接で新入社員の実務を丁寧に伝える。

これらの工夫がミスマッチを減らす第一歩になります。

早期退職は双方が損をする

僕はこれまで8年間、就活ブログを運営してきました。

その中で常に意識してきたのが「早期退職を防ぐための情報提供」です。

残業時間や休日数といった労働条件だけでなく、仕事内容との適性に関する情報も広めることで、1人でも多くの就活生が早期退職を避けられると考えています。

拙著『脇役さんの就活攻略書』でも、自己分析の具体的なやり方や労働条件の指標を体系的に整理しました。

就活生にとっては、転職できる時代とはいえ1社目から適性のある仕事に就いた方がキャリアに有利。

企業にとっては、1人の早期退職が採用費(100万円以上)や教育時間、さらには社員全体のモチベーション低下など数100~数1000万円規模の損害につながります。

だからこそ、就活生も人事担当者も「仕事内容との適性」を真剣に考えるべきです。この記事がその気づきのきっかけになれば、とても嬉しく思います。

※アデコ株式会社「新卒入社3年以内離職の理由に関する調査」
https://www.adeccogroup.jp/power-of-work/061

(本記事は『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』に関連する書き下ろしです