実は死亡届の翌日である9月25日、関東信越厚生局は小西医師の保険医登録を同日付で取り消すと発表した。あわせて小西医師が代表をつとめる「つなぐハートクリニック」(渋谷区、閉院)に対しても「保険医療機関の指定取消相当」という行政処分を下した(理由は前述の処方箋の疑義などについて正当な理由なく監査を拒否したため)。保険医の登録が取り消されれば、事実上、国内で医師として働くことはできなくなる。
政界の大物とも
接点があった?
このタイミングで死亡届を出したことについて前出経営者は「保険医の取り消しで債権者の追及が一層厳しくなるため、奥さんに協力してもらい死んだことにしたのだろうが、なぜこうなる前に厚生局の監査に応じなかったのか」と呆れる。それまで債権者には「勤務医としてまじめに働いてカネを返す」などと釈明をしていたが、保険医を取り消されてそれすらできなくなった。
しかし、死亡届が受理されるための死亡診断書はだれが書いたのだろう?いくら医者でも自分の死亡診断書は作れまい。これについて前出経営者は「小西医師は面倒見がよく、高齢の開業医など多くの医者の世話を焼いていた。彼らのうちのだれかに頼んだのではないか」と推測する。うその死亡届を巡る疑惑についてもこれから警察の捜査が及ぶ可能性がある。
小西医師は、医療法人社団たいな(渋谷区)の理事長、合同会社Dear Lab(同区、エステサロン経営)の代表のほか、一般社団法人医師連合会(港区)の会長という肩書も名乗っていた。「もともとは消化器が専門分野だったようだが、訪問診療の世界に将来性を見出し、力を入れていた。訪問診療は基本ひとりでいろんな患者に対応するため、求められる医療技術が幅広く、実際小西医師はきわめて優秀だった」(前出経営者)という。
今回、別の債権者にも取材ができた。2年半くらい前に小西医師を紹介され、数千万円を貸して返済されていないという。その債権者のところに小西医師を連れてきたのは政界の大物のSPだったこともある元警察官だった。