死のリスクが4倍になる人の特徴、寿命を左右するのは「呼吸力」と「筋肉」だった写真はイメージです Photo:PIXTA

寿命を左右するのは日々の習慣や栄養状態だと思われがちだが、12年にわたる大規模研究が示したのは、呼吸と筋肉量こそが寿命を決めるという事実だった。タバコが長生きの天敵とされるのは、有害物質のせいではなく心肺機能を低下させるからだ。科学が明かす、健康に長生きするための方法とは?※本稿は、医師のピーター・アッティア著、ジャーナリストのビル・ギフォード著、小坂恵理訳『OUTLIVE(アウトリブ)人はどこまで生きられるのか:健康長寿の限界を超える科学的戦略』(NHK出版)の一部を抜粋・編集したものです。

心肺機能が弱い人は
喫煙者より死にやすい

 JAMA(米国医師会誌)に掲載された2018年の研究では、12万人以上を対象に最大酸素摂取量を計測した結果(ランニングマシン試験に参加してもらった)、値が高い人のあいだでは一律に死亡率が低いことがわかった。

 最も健康なグループは最も死亡率が低く、しかも他の人たちに驚くほど大差をつけていた。

 つぎのことを考えてほしい。タバコを吸う人は吸わない人に比べ、全死因死亡率(すなわち、あらゆる要因で死ぬリスク)が40パーセント高く、ハザード比(HR)が1.40になる。

 ところが2018年の研究からは、対象となる年齢や性別のなかで最大酸素摂取量が平均以下の人たち(25~50パーセンタイル)は、上位4分の1(75~97.6パーセンタイル)の人たちに比べ、全死因死亡率が2倍になることがわかった。

 要するに心肺機能が不健康な人は、死の相対リスクが喫煙者よりも大きい。

 これはまだ序の口だ。最大酸素摂取量が下位4分の1の人たち(すなわち最も不健康な25パーセント)は、上位4分の1の人たちと比べて死ぬ可能性がほぼ4倍になり、エリートレベル(上位2.3パーセント)の人たちの5倍に達する。