頭の回転スピードは
“主観の年齢”でわかる

 年齢に関しては、「実年齢」と「主観的年齢」を区別することが重要です。

 実年齢は生年月日に基づく年齢ですが、主観的年齢のほうは、本人の思い込み、つまり自分が何歳くらいだと思っているのかの年齢になります。実年齢は50歳でも、主観的年齢は30歳というケースはいくらでもあるわけです。

 そして本人が「私はまだまだ若い」と信じている人は、たとえ実年齢が60歳であろうが、70歳であろうが、若い人と同じように“頭の回転は早い”のです。

 「私は若い」と信じていると、それが自己暗示の効果を発揮して、頭の回転も早いままでいられます。つまり、相手の頭の回転の早さを知りたいのなら、実年齢を聞くのではなく、次のように主観的年齢を聞くのが正解になります。

「○○さんって、ご自身のことを何歳くらいだと思ってます?」

 もしその答えを聞いて、主観的年齢が実年齢よりも下になるのなら、「この人は頭の回転も早い」と推測できますし、主観的年齢が実年齢よりも上になるのなら、「この人は頭の回転が遅いのかも?」と考えられるわけです。

 ちなみに、頭の回転の早さというものは固定的なものではありません。かりに高齢者でも、若者のようなファッションをしてみるとか、若者のような髪型にしてみることによって気分を若返らせると、鈍っていた頭の回転も復活させることが可能であることが明らかにされています。

 ハーバード大学のエレン・ランガーは、70代から80代の高齢者を、ニューイングランドのとあるホテルに連れてゆき、一週間ほどそのホテルで過ごしてもらいました。なお、ホテルは全面改装され、調度品などはすべて20年前のものにしました。実験参加者には、若いときの頃を思い出して過ごしてもらったわけです(※1)。

 するとどうでしょう、一週間後に調べてみると、若い頃の気分で過ごした高齢者たちは、手足がよく動くようになり、姿勢もよくなり、しかも頭の回転まで早くなったのです。ついでに、参加者の写真を部外者に見せたところ、年齢よりもはるかに若いと評価されることも明らかにされました。