円満退職イメージ写真はイメージです Photo:PIXTA

困った社員を辞めさせたいが、強引に進めると訴訟リスクが心配だ──そんな経営者や人事担当者の悩みを次々と解決しているのが、弁護士の西脇健人氏だ。「円満退職請負人」として、法律知識を活かしながら、トラブルを避けて速やかに退職につなげる独自の手法を確立してきた同氏が、問題社員を合法的に退職へ導く具体的なノウハウを明かす。※本稿は、西脇健人『「円満退職請負人」が教える!全員が幸せになる「トラブルなし」で問題社員に1ヶ月で辞めてもらう方法』(翔泳社)の一部を抜粋・編集したものです。

辞めさせると決めたら
手順を淡々と踏んでいくだけ

 これは私が代理人として話し合いに参加する時の1つのパターンです。

 話が尽きたら一旦ブレイクを入れます。ブレイクと言っても、ほんの1分程度ですが、一瞬だけ社長や人事部長の同席している決裁権者と方向性について確認します。

「予定通り、辞めてもらう方向でいいですか」と確認する意味もありますが、この流れで、退職させるのをやめますということは少ないので、形式的な確認になります。

本題(1)円満退職の提案

 

 短いブレイクの後、本題に入りましょう。切り出し方としては、以下のようなセリフが想定できます。

 

「いろいろ話を聞いたけれども、お話が聞けない(または話は聞けた)けど、やはりあなたの話よりも他の従業員の話のほうがどうしても整合性が取れている」

 

「会社としてあなたに仕事を続けてもらうと、組織としても潰れてしまうし、他の従業員が辞めてしまうかもしれないから、会社としては円満に辞めていただきたいと思っています」

 このように話します。このタイミングで、用意していた「合意退職書」を提示します。