この説明も、理解してもらえるまで、何度も話します。

 ここまで来ると翻って「私、合意退職します」と言う人も多いです。

 その場合、ここからようやく円満退職の交渉を始めることができます。

今日辞めさせる覚悟を
最後まで曲げてはいけない

本題(7)退職条件に問題社員の意向を反映させる
 

「円満退職するなら、もう1回条文を読み上げるので、一緒に確認してもらえますか?」と言って、ひとつずつ条文を確認しましょう。


 読み合わせた後、そして、必ず、「何か気になるところはありますか」と確認します。


 この時、「ここだけ変えてほしいです」と言われたほうがこちらにとっては好都合です。なぜなら、「退職条件に関して向こうの意向を反映している」ということは、「強迫された」とか、「判断能力がなかった」と後から問題社員に言われるリスクが低くなるからです。


 だから、むしろ、「何か意見はないですか?これはあくまで会社が考えてきた案なので、できる範囲であれば考慮しますよ」と譲歩の姿勢を見せます。


「ある程度条件をのみます」と言うと、「退職日をずらしてください」と言われることがありますが、それには応じないでください。他の従業員や会社のデータに触れさせる機会を与えると、どのような影響が起きるかわからないからです。


 なお、有給休暇を消化するために退職日をずらすことはあり得ますが、これも本当は有給休暇の買取などで対応して、退職日はXデーとしたほうが無難です。


 問題社員から、「まだ従業員だから、その間、健康保険証は渡さない」などと言われ、事後的に感情的なやりとりが生じる可能性が高まるからです。


 金銭的な面や他の条件はのんでも、「本日付の退職という点だけは譲れない」ここだけは明確に話しましょう。