ちなみに、「このまま働き続けるのは会社としてもあなたとしてもなかなか厳しいと思っています」と言う時に「あなたとしても厳しいでしょ?」と聞くのはNGです。

 なぜなら、「いや、厳しくないです」と言われてしまったら水掛け論になるからです。あくまで、会社の判断を伝え、反論の余地を与えない話し方を心がけてください。

合意退職の説明を聞かないなら
懲戒解雇を宣言する

本題(4)条文を確認する→応じてもらえないならば(懲戒)解雇を宣言
 

 問題社員が落ち着いたら、合意退職の書面にある条文を1つひとつ読み上げて、確認していきましょう。
 

 ここで、「条文を読み上げて確認するから見てほしい」とお願いすると、泣いていた問題社員が少し落ち着くことがあります。


 怒って、「こんなのいりません」と言って突き返してくる人もいますが、その時はまたそこで時間を取って、落ち着くまで待ってください。そこで私は、また独り言のように問題社員に話しかけます。


「内容だけでも見ていただけませんか」


「あくまでお願いですが、まず、見ていただかないとなかなかお話もできないので、一旦、見ていただけませんか」


 このように、3、4回はお願いします。


 でも大概の人は、この「お願いなんで」という言葉に反応します。「お願いだったら聞く必要はない」と思うのか、「私、辞めませんから」と言う人もいれば、「じゃあクビにすればいいじゃないですか」と言う人もいます。


 ここでまた、30分〜1時間ぐらいかけて、どうしても見ていただけないようなら、「お話に応じていただけないってことでしょうか」と言い、隣にいる社長(もしくは、企業の担当者)に「今回のお話を受け入れていただけないということなので、会社としてはあなたを(懲戒)解雇します」と言って、「解雇通知書」と「解雇理由書」を提示して、


「今日付で解雇するので、明日から来ないでください」


「会社から貸与された備品は全て置いていってください」と通告します。