「それ、うつ病の危険なサインです」精神科医が警鐘を鳴らす3つのNG習慣
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【精神科医が教える】うつ病になりやすい人の3つの共通点Photo: Adobe Stock

うつ病になりやすい人の
「3ない習慣」とは?

今日は、うつ病になりやすい人に共通してみられる「3ない習慣」についてお話しします。

「3ない習慣」とは、「やめない」「逃げない」「泣かない」です。この3つの習慣を持つ人は、うつ病になりやすい傾向があるため、その理由を説明していきます。

精神科医として初診の患者さまとお会いする際は、30分ほどの時間をかけて、どのようなことがあったのかをじっくり伺い、全体像を把握した上で治療方針を決めていきます。

その中で、うつ病と診断される方には、ある共通点が見られます。それが、今日お話しする「やめない」「逃げない」「泣かない」という習慣なのです。

1. 責任感が強く「やめない」

うつ病になりやすい方は、仕事を「やめる」という選択肢をなかなか持てません。「何とかして続けたい」とおっしゃる方が非常に多いのです。

心身ともに限界が近く、医師として「休職した方が良い」「なぜこの状態で退職を考えないのだろう」と感じるような状況でも、ご本人は休むことや辞めることに強い抵抗感を示します。

​なるべく休まずに続けたい

体調の悪化を自覚し、勇気を出して精神科を受診された方に対しても、「少し休みましょうか」と提案することがあります。しかし、最初の段階では「それはできません。なるべく休まずに続けたいです」と答えられることが少なくありません。

もちろん、状態に応じて強く休職を勧めますが、まずは診断書をお渡しし、「できれば業務量を減らしてもらい、定時で帰るようにしてください」といった指導をすることもあります。そうして一度「休む」という選択肢を頭の中に持っていただくことで、数日後に「やはり休みます」とご自身で決断されることにもつながります。

しかし、最初の時点では「仕事に穴を空けたくない」という気持ちが強く、「やめる」「休む」という発想に至らない方が多いのが特徴です。

2. 困難な状況から「逃げない」

「やめない」こととも関連しますが、「逃げない」という特徴もあります。

心身が疲れ果て、もういっぱいいっぱいの状態になっているにもかかわらず、その状況から逃げようとしないのです。例えば、上司に配置転換を願い出るなど、環境を変えるための行動を起こすことなく、一人で抱え込んでしまいます

逃げるわけにはいかない

なぜ行動しないのかを伺うと、「自分に任された仕事だから」「私がいかないと会社が回らないから」といった、強い責任感からくる言葉が返ってきます。

しかし、精神科を受診されるほど追い詰められているのであれば、それはもう「逃げたほうがいい」というサインなのです。それでも、「逃げるわけにはいかない」という考えに縛られてしまっています。

3. 感情をため込んで「泣かない」

そして3つ目の特徴が、「泣かない」ということです。

診察室に入ってこられる時、多くの方は疲れた表情ではあるものの、初対面の医師に対しては愛想笑いを浮かべ、丁寧に状況を説明しようとされます。

しかし、睡眠や食事がとれていないといったお話をお聞きし、「それはうつ病ですね。しっかり休みましょう」とお伝えすると、堰を切ったように涙を流し始める方が多くいらっしゃいます。

泣かずに耐えてきた

普段、大変なことや辛いことがあっても、決して人前で泣かずに耐えてきたのです。医師からの言葉をきっかけに、張り詰めていた糸が切れ、初めて感情を解放できるのでしょう。

これは「感情失禁」という、うつ病の症状の一つでもあります。ティッシュをお渡しするまで、ご自身が泣いていることに気づかない方もいらっしゃるほどです。

「3つの習慣」を手放し、自分を大切に

「やめない」「逃げない」「泣かない」――もし、ご自身にこの3つの習慣が当てはまると感じたら、うつ病になりやすいサインかもしれません。どうか、これらの習慣を手放すことを考えてみてください。

辛い時は、仕事をやめてもいいのです
苦しい場所からは、逃げてもいいのです
悲しい時は、思いっきり泣いてもいいのです

このお話が、少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。