新聞も、雑誌も、本も「高い」
かつては社会の木鐸、あるいは公器として一定の権威と信頼性を有していた新聞は、なぜこれほどまでに読まれなくなったのか。報道の質低下を主張する向きもあるが、それ以前に、新聞料金が高い。全国紙なら、どこも概ね月額5000円弱。「毎日あの膨大な情報が提供されて、たった5000円!」……と考えるのは少数派で、「タダでネットニュースが読めるのに、なぜ5000円も払う?」と考える人のほうが多いのが現実だ。
雑誌も高い。一般の週刊誌は1冊500~600円。毎週買えば月に2000円以上。かかっているコストからすれば妥当な価格であることは、出版業界に身を置いている者からすれば理解できるが、膨大な情報がインターネット上で、大半が無料で提供されている中、多くの人はそんな金を出せない。
余談だが、件の××党について特集している雑誌があったので先日購入したところ、780円もしたのに総ページ数の少なさと特集の小ぶり感に驚いてしまった。書かれている情報に価値がないわけではない。ただ、言いたかないが、「これっぽっちを読むのに780円か……」と思ってしまった。雑誌が売れなくて当然である。
本も高い。単行本は税込み2000円程度が珍しくなくなり、新書は税込み1000円超えが普通になってきた。書き上げる労力、ファクトチェックの手間、校正・校閲による質の担保、流通費や紙代の高騰。その積み重ねが1000円、2000円という価格であり、誰もぼったくってなどいない。しかし、もはや日本人は、本1冊に「そこまでの対価」を支払えるほど裕福ではなくなった。
もう一度言う。裕福ではないのだ。その上で長文を読むのはおっくう。だから、実質無料で、長文読解力が必要とされないYouTubeとSNSに行く。
ネットを使いこなせていないのは大人
先日、フォロワーが10万人程度いるX(Twitter)の美容系アカウントがポストした「正しいお金の使い方」という画像がバズっていた。「お金かける」の筆頭は「推し」「医療脱毛」「旅行」「友達との外食」。まあ納得できる。一方「お金かけない」の筆頭には、「服」「携帯代」に並んで「知識(YouTube、ネット)」「趣味(散歩/家で映画/読書)」とあった。
もう何か、すべて合点がいく。