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人に会うときは第一印象が大事、とよく言われるが、先入観や思い込みは人間関係だけでなく経済までも大きく左右する。実際、銀行や医療の現場でもこの効果を巧みに利用しているのだ。自分を高めるためにも、相手の行動を操るためにも使える“思い込みの力”を池上彰が解説する。※本稿は、池上 彰『なぜ人はそれを買うのか?新 行動経済学入門』(Gakken)の一部を抜粋・編集したものです。
人に会うときは
最初と最後の印象が肝心
〈A〉
知的、勤勉、衝動的、批判的、頑固、嫉妬深い
知的、勤勉、衝動的、批判的、頑固、嫉妬深い
〈B〉
嫉妬深い、頑固、批判的、衝動的、勤勉、知的
嫉妬深い、頑固、批判的、衝動的、勤勉、知的
これらは、ひとりの人物の特徴を並べたものですが、〈B〉は〈A〉と同じ言葉の順番を逆に並び変えただけです。
ところが、最初にポジティブな言葉が並ぶ〈A〉のほうが明らかに好印象を受けます。
これは1946年に心理学者のソロモン・アッシュがおこなった実験に用いられたもので、これにより、人は最初にふれたものによって印象が大きく左右されるという「初頭効果」が実証されました。
やはり、人と会うときは第一印象をよくすることが大切ですが、もうひとつ重要なのは、この第一印象はその後も持続するという点です。
すなわち、人は代表性ヒューリスティック(編集部注/見た目や特徴をもとに物事の判断を行うこと。ステレオタイプなバイアスの影響を受けやすい)のひとつである初頭効果によって相手の人物像をつくりあげると、それはなかなか変わらないということです。
この初頭効果とあわせて覚えておきたいのが「ピーク・エンドの法則」です。
これは、人はほとんどの記憶を、もっとも感情が高ぶったピーク時と最後にもった印象で定めるという法則です。







