その一方で、いちばん安価なものである「梅」については、「貧乏くさいな」「ケチだと思われるのではないか」という見栄が働いて敬遠されやすいといわれます。
こうしたことから、結局、もっとも無難な真ん中である「竹」が選ばれることになります。
したがって、商品を提供する側は、もっとも売りたい商品を三択の真ん中に置くのが鉄則です。
極端の回避効果を活用したこうした手法は「おとり効果」ともいわれます。
ひと桁少ない「端数価格」が
消費者の財布のヒモを緩める
行動経済学はまだ新しい学問で、さまざまな耳慣れない理論や専門用語が出てきます。
そのため、つい身構えてしまいがちですが、じつのところ、行動経済学を活用した工夫や仕掛けは、私たちの身近なところでたくさん見つけることができます。
『なぜ人はそれを買うのか?新 行動経済学入門』(池上 彰、Gakken)
たとえばスーパーの店頭で300円、500円といったキリのよい値段がつけられた商品はあまり見かけません。多くの商品の値段は198円とか399円とかのような端数が出ています。
食料品や日用品ばかりでなく、衣料品も同じです。ユニクロに行くと、1990円や2990円の商品がズラリと並んでいます。
このようにキリのよい数字から少し下げて設定した値を「端数価格」といいます。
なぜわざわざこうしたことをするかは、もうおわかりでしょう。たとえば1000円と980円ではわずか20円の差しかありませんが、その数字以上に消費者は980円の表示を見たときに「安いな」と感じてしまうからです。
4桁の1000円と3桁の980円。ひと桁少ない価格表示は、消費者の財布のヒモを緩めるのに充分な効力を発揮するのです。







