「ぶっちゃけTOEIC800点でも英語は喋れないですよ。就活では有利になるかもしれませんが」
新刊『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』は、特別なガクチカも将来の夢もなかった普通の就活生=「脇役さん」の著者が、1000冊以上の本を読み込み、自分だけの就活戦略をつくりあげ、食品超大手を含む22社から内定を得た実体験から生まれた一冊です。
「長期インターンにも行っていないし」「自己PRで語れることがない」――。
そんな普通の就活生が、どうすれば自分に合う企業に内定を取れるのでしょうか? 就活に不安を抱えるすべての学生、そしてその姿をそっと見守る保護者の方に届けたい、内定につながるリアルな戦略が詰まった、まったく新しい就活本です。今回は、資格があれば就活は有利になるのかについて著者である藤井氏が特別に書き下ろした記事をお届けします。

就活Photo: Adobe Stock

TOEICや資格が有利に働くかどうかは企業による

「ぶっちゃけTOEIC800点でも英語は喋れないですよ。就活では有利になるかもしれませんが」

こうした話題を知人と話したことがあります。

僕が大学生のときは、漠然と「TOEIC730点や資格があれば就活に有利になる」というイメージがありました。ここでいう有利とは、同じようなスペックの候補者がいたときに、TOEICが高得点なほうが内定を取れるということです。

ですが、実はそうとも限りません。なぜなら、TOEICの点数や資格を評価する企業もあれば、評価しない企業もあるからです。

実際に僕が食品メーカーを受けたとき、最終面接でTOEICで800点台をアピールする人がこう言われていました。

「そんなに英語を活用したいのなら、食品メーカーではなく商社の方が良いのでは?」と。

これに対して、「食品メーカーの中では海外比率が高いので」という回答をしていたのですが、「高いと言っても数%ですよ」と返されて撃沈していたんですよね。

仮に英語力をふんだんに使う企業であれば、TOEICが800点台というだけで評価されるでしょう。しかし、海外の売上比率が低かったり、注力していない企業であれば、英語力は問われないのです。

他の資格も同様に、その資格を活かせる会社でなければ、「保有していること自体」が評価には繋がりません。

もちろん、それらの資格を取得するに至った「勉強意欲」や「継続力」は評価されるかもしれませんが、それらもうまく伝えれなければ効果は薄いのです。

資格よりも大事なこと

TOEICや保有している資格が、その会社で活かせるかどうかは面接の雰囲気を肌で感じないと分からないことが多いです。

よって、資格をアピールするのではなく、「なぜその資格を取得しようと思ったのか」という理由を語れるようにしておくことが大切です。それによって、先ほども話した「勉強意欲」や「継続力」の評価に繋がります。

このとき、理由を深めるためにおすすめがなぜなぜ分析です。もともとはトヨタ自動車の工場で、生産性を上げるために考えだされた手法です。拙書『脇役さんの就活攻略書』でも、特に重要なテクニックとして紹介しています。

なぜなぜ分析とは、何度も「なぜ」を繰り返すことで本質を洗い出すことができるテクニック。そもそもエントリーシートに書いてあること、そして面接で話すことの納得性が高い人は、「なぜ」による深堀りがしっかりしています。

「なぜTOEICの勉強をしたのですか?」

これに対して、事前に「なぜ」と深堀りしていない人は、「海外で事業を広げるために英語力が大切だと思ったからです」という抽象度の高い回答になりがちです。

一方で、事前になぜなぜ分析している場合は、「「英語力を高めたいのは、将来海外の人と直接コミュニケーションを取りたいからです。異なる価値観に触れることで、仕事のアイデアや発想が広がると思っています」」と答えることができるかもしれません。

脇役さんは「考えの深さ」で勝負すべし

なぜなぜ分析ですが、資格も学生時代に頑張ったこともない僕のような普通の就活生こそマスターすることをおすすめします。

なぜなら先に紹介したTOEIC高得点や資格を保持している人のなかで、面接官を納得させられるまで考えを深めている人は案外少ないからです。そこに脇役さんのチャンスがあります。

エントリーシートで書いたことに対して、なぜなぜ分析をおこなって、もう3段階、理由を深堀りするだけでも評価は変わります。

僕は本当に普通の就活生だったので、このように考える力でしか勝負ができませんでした。

就活ってTOEICとか、資格とか、すごい経験のある人ばかりが評価されるんでしょ? そんな思いから諦めてしまっている人たちに、ぜひ拙書『脇役さんの就活攻略書』が届くと嬉しいです。

(本記事は『ありのままの自分で、内定につながる 脇役さんの就活攻略書』に関連する書き下ろしです