疲労感のマスキングを繰り返すと、脳がバグを起こし、いざ休んだときに疲れが取れにくくなってしまうからです。そこから負のスパイラルに陥り、深刻な病気を発症するケースも想定できます。

「無理せずに休む」は、あなたの人生にとって、本当に大切なことなのです。

タフで疲れにくい人は
脳を正しく使えている

「タフな人」という表現が使われることがあります。精神的にも、肉体的にも、です。

 これは見方を変えると、「疲れにくい人」と解釈することもできます。タフであれば、疲労を感じるまでの時間が、タフといわれない人に比べて長くなるのが自然だからです。そして当然のことながら、その反対に「疲れやすい人」も存在します。

 読者のなかで、「自分はタフで疲れにくい」と思っている人は、まずいないでしょう。タフではないと思っているから、疲れやすいから、上手に休息をとりたいから、本記事にヒントや救いを求めているはずです。

 疲れやすい人と疲れにくい人、両者の違いはどこにあるのでしょうか。

 体の疲れの場合、持って生まれた体質、食事を中心とする生活習慣、運動習慣、慢性疾患の有無などが違いに影響してきます。丈夫な体に生まれ、バランスのとれた食事をとりながら規則正しい生活を送り、適度に運動をして、持病もいっさいない人は、その真逆の人に比べ、はるかに疲れにくいです。

 脳の疲れの場合は、体質などが原因で違いが生じることはそれほどありません。

 脳が疲れやすい人と疲れにくい人を分かつポイントは、「脳を正しく使えているか否か」にあります。

 脳を正しく使えていれば、脳に休息を与えることができるからです。脳疲労がたまりにくい状態、すなわち疲れにくい状態――そういってもいいでしょう。

 脳を正しく使うとは、「脳が活性化した状態になりっぱなしにならないために、メリハリをつけるように働きかける」ことです。

 脳は生命維持のために24時間働き続けているので、意識的にスイッチのオンオフを切り替えることはできません。

 しかし、思考の仕方や生活習慣などに工夫を凝らすことにより、脳への負担を和らげ、頭の中をからっぽにする時間を多くつくることならできます。そこに意識を向ければ向けるだけ、脳疲労の蓄積を防ぐことができるのです。