ぼーっとする時間は
仕事においても有意義
大前提として推奨しておきたいことがあります。それは、頭の中をなるべく無意識にして、ぼーっとする時間をつくることです。
私たちが意識的に脳を使おうとすると、脳の特定の部位だけが活性化し、脳のエネルギーもそこに集中することになりますが、それは効率のいい脳の使い方、正しい脳の使い方とはいえません。
一方、ぼーっとしているときは、寝ているときと同様に、脳全体が無意識のうちに活発に働きます。じつはこのとき、アイデアやひらめきが生まれやすいといわれているのです。
この現象をもたらすメカニズムのことを、アメリカのワシントン大学セントルイス校の神経学者マーカス・レイクル教授は「デフォルト・モード・ネットワーク(Default Mode Network:以下DMN)」と名付けました。
DMNには、内側前頭前野、後帯状皮質、下頭頂小葉、楔前部などの脳の領域が含まれ(【図4】参照)、DMNが活性化されると、新たなアイデアがわくだけでなく、過去の経験が整理されて情報が組み立てやすくなり、記憶や思考がうまくまとまるようになります。
同書より転載 拡大画像表示
DMNを活性化させると
いいアイデアが浮かんでくる
無意識下の脳の活動なので、自動車が停止していてもエンジンは止まらずに動いている、アイドリングの状態に置き換えるとわかりやすいでしょう。
イギリスの科学者アイザック・ニュートンは、物思いにふけっているときに、木になっていたリンゴがたまたま落ちるのを見て、万有引力の法則の着想が生まれたといいます。
「なぜリンゴは落ちるのか」を意識的に考え、脳の一部をフル稼働させて発見に至ったわけではありません。







