また、入浴中や電車移動中に「曲や歌詞のいいアイデアが浮かんだ」というアーティストの話もよく聞きます。これらは、脳を意識的に使わない状態であり、DMNが活性化しているから起こることなのです。
DMNが活性化されると、脳内の情報整理をスムーズに行うことができ、さらには記憶力が定着するので、空いたキャパシティを有効活用できるようになります。それにより、脳のパフォーマンスが格段にアップすることはいうまでもありません。
それだけでなく、脳が余計な情報処理にエネルギーを使わなくて済むので、脳疲労の防止にもなります。忙しさに追われて心理的な余裕がないと感じている人は、そんなときこそ、あえてぼーっとする時間をつくってみてはいかがでしょうか。
デメリットも理解して
ぼーっと時間を使いこなそう
ただし、いいこと尽くめというわけではありません。デメリットもあります。じつは、安静時の脳活動の多く(推定60%前後)がDMN関連領域に割り当てられることがわかっており、DMNが活性化しすぎてその状態が長時間続くと、オーバーワーク気味になって歓迎できない事態をまねいてしまうのです。
『働きすぎで休むのが下手な人のための 休息する技術』(菅原道仁、アスコム)
注意力が散漫になったり、大切なことを一時的に忘れたりすることにもつながります。情報処理がスムーズに進みすぎたことにより、余計なことを考えてしまって、それが不安感を助長するケースもあるでしょう。
この状態を続けていると、脳に蓄積されているエネルギーが枯渇し、かえって疲労の原因になることもあります。
脳疲労がたまりにくい状態、疲れにくい状態にするためには、脳を正しく使うことが大事。これは間違いありません。そのために、ぼーっとする時間をつくって、DMNを活性化させることが効果的。これも合っています。
しかし、DMNが活性化しすぎて脳が疲れてしまっては本末転倒です。ぼーっとすることは大切ですが、ものには限度というものがあります。
上手にメリハリをつけて、脳が疲れにくい人になることを目指しましょう。







