ここ数年、熱狂的なサウナブームが続き、若者や中高年女性など、幅広い世代にまですそ野が広がっています。しかし、サウナ愛好家の間でも、「結局、どうやって入るのが正解なのかわからない」「サウナは健康にいいのだろうか」と疑問を持っている人も少なくありません。
そこで今回は、最新データに基づいて科学的に正しい入り方を解説し、「ととのうための必携書」「めちゃくちゃわかりやすい」と話題の『究極にととのう サウナ大全』著者・加藤容崇先生(日本サウナ学会代表理事・慶應義塾大学医学部特任助教)にご登壇いただいた、本書刊行記念セミナー(ダイヤモンド社「The Salon」主催)の模様を、全2回のダイジェストでお届けします。(構成/根本 隼)

医者が毎日やっている「脳の老廃物」をごっそり落とす方法・ベスト1Photo:Adobe Stock

予防医療の普及がカギ

加藤容崇 日本は、税収の約60%が医療費に充てられていて、このままだと財政がパンクしかねません。なので、疾患の早期発見や予防医療を通じて、医療費をできる限り削減することが重要です。

 ただ、予防医療は、普及させるのが難しい。なぜなら、健康な人たちは自分が病気になると思っていないので、「病気になりたくなければ○○をやりなさい」と言われても、ピンとこないからです。特に、自分の負担になるようなことはやりたくないのが人の性です。

 でも、サウナのように、「ついやりたくなること」「気持ちいいから/好きだからやること」を実践して、その結果として健康になれたら一石二鳥です。個人的には、サウナという「ライフスタイル」の普及を通じて、より多くの人の疾患予防に貢献できればいいなと考えています。

知っておきたい「サウナの健康効果」

 そこで、気になるのが、サウナの健康効果です。この点については、フィンランドの研究から強いエビデンスが出てきています。

 サウナに入る習慣がある人ほど、次の3つの効果があることが確認されています。

(1) 認知症のリスクが60%以上減る
(2) 心筋梗塞のリスクが50%減る
(3) 精神科疾患のリスクが78%減る

【認知症】サウナに毎日入る⇒脳の老廃物がごっそり落ちる

「サウナに毎日入る人は、週1回以下しかサウナに入らない人より、軽度の認知障害になるリスクが66%も低い」というデータが明らかになっていますが、認知症のリスクが減るのは、睡眠の質が向上するからです。逆に、睡眠不足だったり睡眠の質が低かったりすると、認知症になるリスクが高まるので、注意してください。

 そもそも認知症というのは、年をとるごとに脳に少しずつ溜まっていった老廃物が一定量を超えることで、脳細胞が死んで機能しなくなってしまう病気です。つまり、老廃物の蓄積が問題なのですが、ノンレム睡眠(深い睡眠)時にこの老廃物が洗い流されることが報告されています。

 そして、サウナに入るだけで、このノンレム睡眠の時間が約1.5~2倍も長くなるといわれています。ノンレム睡眠の時間が伸びれば、より多くの老廃物が排出されることになるので、認知症予防になるというメカニズムです。

 ちなみに、就寝のタイミングとしては、サウナに入ってから2時間後がベストです。これは、ちょうどその時間帯に深部体温が通常時よりも下降するので、休息の効果が最大限発揮されるからです。

【心筋梗塞】血管が柔らかくなると、心臓の負担↓

 なぜ心筋梗塞のリスクが減るのか。それは、サウナに入ると、血管が柔らかくなるからです。血管が柔らかくなれば、血液を体全体に運びやすくなるので、心臓の負担が減って心筋梗塞のリスクが低下するんです。

 逆に、血管が硬くなってしまうと血液運搬の機能が低下するので、そのぶん心臓自体の筋肉をたくさん使って血液を体全体に送る必要が出てきます。

 このとき、心筋にも血液が大量に必要なのですが、心臓に血液を送り出す血管自体も硬くなっているので、供給量が限られています。そうすると、心臓が血液不足になって、心臓が死んでいってしまう。

 これが「心筋梗塞」の仕組みです。血管を柔らかく保つことが極めて大事だということがよくわかると思います。

 また、高血圧や心不全の方であっても、主治医と相談しながら、負荷をきちんとコントロールしてサウナに入れば、心疾患のリスクが下がったり、心機能が上昇したりするという結果が出ています。

 大事なのは、「症状があるからサウナは入れない」と諦めるのではなく、適切な負荷の範囲内でサウナをうまく活用することです。