新刊『EXPERT 一流はいかにして一流になったのか?』(ロジャー・ニーボン著/御立英史訳、ダイヤモンド社)は、あらゆる分野で「一流」へと至るプロセスを体系的に描き出した一冊です。どんな分野であれ、とある9つのプロセスをたどることで、誰だって一流になれる――医者やパイロット、外科医など30名を超える一流への取材・調査を重ねて、その普遍的な過程を明らかにしています。今回は達人の仕事を追う著者の研究について『EXPERT』の本文から抜粋してお届けします。(構成/ダイヤモンド社・森遥香)

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達人についての研究

達人についての研究は簡単ではないが、挑戦のしがいがある。達人は往々にして、自分が行っていることを言語化するのに苦労する。彼らの仕事は無意識の域に達していて、本人にさえ捉えがたく、ましてや言葉で説明することなどほとんど不可能だ。もちろん、仕事を見せてもらうことはできる。スタジオや工房、ステージやアトリエ、診察室や手術室に行けば、達人の仕事ぶりを観察することができる。それでもなお、彼らの精妙なパフォーマンス、彼らが下す判断、そして彼らが仕事に注ぐ深い知恵を理解することは容易ではない。

自分の仕事と通じるものがある達人、自分の経験を解釈するうえで参考になる達人は、どうすれば見つけられるのだろう。どうすれば「見えない魚」の姿を捉えることができるのだろう。一つの方法は、魚が集まる場所へ行くことだ。魚が集まる流れの緩やかな場所のように、達人たちが集う場所を探すのだ。

(本記事は、ロジャー・ニーボン著『EXPERT 一流はいかにして一流になったのか?』を元にしたオリジナル記事です。)