「寝ても疲れがとれない」「朝から体が重い」「むくみがなかなか引かない」――。
そんな不調の原因は、体の中にたまった“老廃物の滞り”かもしれません。
新刊『すっきり自力整体』の著者である矢上真理恵さんは、「不調のほとんどは自力整体で“めぐり”を整えることで改善できる」と語ります。
「自力整体」とは、整体師や鍼灸師の手技を自分自身でおこなうメソッド。老廃物を流し、痛みやコリ、不定愁訴を根本から整えます。
現在、全国で約1万5000人が実践中。
本稿では、新刊『すっきり自力整体』から、30秒でめぐりを促すメソッドを抜粋してお届けします。
監修:矢上 裕(矢上予防医学研究所所長/自力整体考案者/鍼灸師・整体治療家)
写真:榊智朗 構成:依田則子

なんだか重だるい…と感じるモヤモヤの正体
東洋医学には「不通即痛(ふつうそくつう)」という言葉があります。
“流れが滞ると、痛みや不調が生じる”という意味です。
血液・リンパ・体液・気の流れ――。
これらのめぐりが悪くなると、体のあちこちにモヤモヤとした不快感がたまりやすくなります。
その原因は、運動不足や姿勢のくずれ、ストレス、冷え、食べすぎなど、日々の小さな習慣の積み重ね。
知らないうちに老廃物が体内にたまり、コリ・痛み・疲労感・気力低下を引き起こしてしまうのです。
自力整体は「すっきり」を取り戻す習慣
そこでおすすめなのが、「自力整体」というセルフケア。
東洋医学の知恵をベースに、自分の手で体を整え、老廃物を流して“めぐり”を取り戻す方法です。
整体や鍼灸に通わなくても、自宅で続けられる“自分専用の整体”。
このメソッドは、鍼灸師で整体治療家でもある私の父・矢上裕氏が、約50年かけて体系化しました。
「治療で一時的に良くなっても、生活習慣を変えなければ不調は戻ってしまう。だからこそ、自分で整える力を育てよう」
そんな想いから生まれたのが「自力整体」です。
「5つの老廃物」でわかる不調の原因
私自身も多くの生徒さんを指導する中で気づいたのは、現代人の不調の多くは、体と心にたまった「老廃物」が原因だということ。
自力整体では、この老廃物を5つに分類しています。
5つに整理することで、不調の原因がわかりやすくなり、対策の方向性が見えやすくなるからです。
<5つの老廃物>
① 息(そく):肺に残った古い空気
② 血(けつ):流れの悪い血液=瘀血(おけつ)
③ 水(すい):余分な水分=水毒(すいどく)
④ 便(べん):腸にたまった便
⑤ 念(ねん):心に残る感情の老廃物
寝ても疲れが取れないのは、浅い呼吸が関係することも
5つの老廃物のうち、「①息(そく)」=肺に残った古い空気は、現代人にとくに多い老廃物です。
スマホの見すぎや長時間のパソコン作業などで背中が丸まり、猫背の姿勢が習慣になると、胸郭(きょうかく)が硬くなり、呼吸はどんどん浅くなっていきます。
肺の働きが弱まると、古い空気(二酸化炭素)が体内に残り、新鮮な酸素を十分に取り込めなくなります。
その結果、自律神経が乱れたり、不眠や血圧の上昇を引き起こすこともあります。
寝ても疲れが取れない――そんな人は、浅い呼吸が関係していることが少なくありません。
「30秒呼吸法」ですっきり!
そこで大切なのが、「深く息をする」習慣です。
深い呼吸は、自律神経の調整や熟睡、血流促進に効果的。
自力整体のレッスンでも、最初におこなうのが「30秒呼吸法」のワーク(方法は後半で紹介)。
この呼吸法をおこなうと、全身の緊張がゆるみ、気血の流れがいっきに整っていきます。
とくに寝る前に数回おこなうと、熟睡できて、朝の目覚めもすっきりするはずです。
ほかにも朝起きたとき、通勤途中、オフィス、家事の合間など、スキマ時間に取り入れてみましょう。
たった30秒で、体も心も驚くほどすっきり軽くなります。
気血の流れがいっきに良くなる!「30秒呼吸法」のワーク
画像を見ながらおこないましょう(※画像は『すっきり自力整体』より抜粋)。

◎「30秒呼吸法」のワーク
【手順1】
◆はじめる前に鼻から息を全部吐き出す
【手順2】
◆10秒かけて鼻から息を吸う
お腹をふくらませながら、細く長く吸う
【手順3】
◆10秒間、息を止める
お腹のふくらみをキープ
【手順4】
◆10秒かけて息を吐く
お腹がぺたんこになるまで長く細く吐く
【手順5】
◆あと4回繰り返す
時間に余裕のある方は、書籍『すっきり自力整体』で紹介している動画でわかる「20分ショートレッスン」も役立ちます。
※『すっきり自力整体』では、このほかにも整体プロの技法を応用したデトックスメソッドを多数掲載。老廃物の排出、コリや痛みの緩和、不定愁訴やゆがみの解消まで、自分でできる整体法を紹介しています(★54分の動画付き)。
矢上予防医学研究所代表取締役
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見て、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』『すぐできる自力整体』(ダイヤモンド社)がある。
自力整体オフィシャルウェブサイト
https://www.jirikiseitai.jp/
監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)
矢上予防医学研究所設立者、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約400名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』『100歳でも痛くない 痛みが消える自力整体』(ともに新星出版社)など多数。自力整体の書籍は累計32冊、総発行部数は77万部を超える。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。
※自力整体は矢上裕の登録商標です。






