集中を妨げる要素は
頻繁に発生している

 私たちが集中力を失うきっかけになる要素のなかには、日々の生活のなかでたびたび出現するものもある。というより、1日に何度も頭をもたげるものもある。

 たとえば、ほとんどの人は、1日に100回以上、スマートフォンを手に取るのではないだろうか。言うまでもなく、このタイプの要素はことのほか弊害が大きい。実行するつもりでいた行動を頻繁に邪魔するからだ。

 そこで、いま数分の時間を費やして、自分にとってどのような要素がこのタイプに該当するかを考えてみよう。

 課題と関係のないことに意識が向きやすいのは、席をはずしたあとデスクの前に戻ったとき?スマートフォンのバイブレーションが作動したとき?コンピュータに電子メールの着信通知が表示されたとき?家に帰ってきて、家事が山積みになっているのを目の当たりにしたとき?

このように繰り返し発生するタイプの要素にうまく対処できれば、自分の人生を大きく改善できる可能性がある。

集中力を奪う要素に
気づけるかが鍵に

 私たち人間には、自分がなにをするかを選ぶ機会が与えられている。

 20世紀オーストリアの精神科医・心理学者ヴィクトル・フランクルはこう述べている。

「私たちが外部からの刺激を受けたあと、それに対して反応するまでの間には、いくらかの時間がある。その時間があるがゆえに、私たちは自分が示す反応を選ぶことができる。ここでどのような反応を取るかは、私たちの人間としての成長の度合いと、自由の度合いを問う試金石と言える」

 しかし、現代に生きる私たちは、さまざまな刺激に対して往々にして、混乱した反応を示している。集中力を失うきっかけになる要素に気づかず、フランクルが指摘した「時間」を意識できないため、その時間を活用できないからだ。

 思考することなく、意図をもたずに反応してしまう。自分の反応に意識的に歯止めをかける認知的能力をもっていないかのように振る舞いがちなのだ。