集中力が落ちた。
あの頃は、もっと没頭できたのに──
私たちは今、スマホやPCに1日平均11時間を費やしていたり、リモートワークによる働き方の変化に追われていたりします。
「人のパフォーマンスを可視化するメガネ型デバイス JINS MEME」「世界で一番集中できる空間 Think Lab」などを手掛けてきた井上一鷹氏の著書『深い集中を取り戻せ』では、集中のプロとして、「これからどのように働けばいいのか」「どうやってパフォーマンスをあげるのか」を語ります。
脳科学的に、「やらされ仕事は4ヵ月しか続かないけれど、やりたいことは4年続く」と言われます。あなたが、夢中で何かに没頭できた体験。やらされ仕事ではなく、自らやってみようと思えたこと。何が原因かわからないけど、いつの間にか、『深い集中』が失われたすべての人へ、ノウハウをお伝えします。
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「集中力の要素分解」立ち上げ・深さ・持続力
「集中力」という言葉がよく使われます。
「自分には集中力がない」「最近、集中力が落ちてきた」など、とても便利な言葉ですが、そこにはさまざまな意味が込められています。
まずは、「集中力」の要素を分解してみましょう。
・立ち上げ速度(「よし、やるぞ」)
・集中の深さ(「集中できてきたな……」)
・集中の持続力(「まだまだいけそうだ……」)
この3つに分けることができます。
私たちがおこなったアンケート調査では、多くの人は「立ち上げ速度」で悩んでいました。
みなさんにも、仕事を始めるまではすごく嫌でやりたくない気持ちだったのに、いざ始めてしまうと、そんなに嫌ではなくなってくる感覚はないでしょうか。
人の脳は、切り替えるタイミングには負荷がかかりますが、作業をし始めてしまうとあまりつらくなくなるものです。
詳しい対処法は、「ルーティン」の作り方として本書で語りますが、意志を妨げる障壁を下げる行為を簡単に説明しておきましょう。
スタートダッシュは「単純作業」で
デスクのPCの周辺には、仕事に関係のないものをあまり置かないようにします。
そして、すぐ仕事に取りかかれるように、最初に作業したい内容を開いた状態で、PCを開きっぱなしにしておくことが大事です。
前日の夜や、朝の食事の前など、仕事に取りかかる前の段階で、その準備をしておきましょう。
私自身は、朝、最初に仕事に取りかかるのが億劫なタイミングに、PCが起動している状態になっているようにしています。
そして、作業を休むときも、あえて単純なタスクの中途半端なところで中断するようにしています。こうすることで、次のタイミングの仕事のスタートが単純作業になり、集中の「立ち上げ速度」がアップします。
簡単なことを小さく始める。これは、他の本でも紹介されているかもしれません。しかし、基本中の基本には、やはり王道しかありません。
最初から難しいことを「よーし、やるぞ」と始めないようにしましょう。