すでに述べたように、まず、そうしたきっかけに気づく必要がある。これがすべての前提になる。それができなければ、反応の仕方を選択するための時間的猶予を生み出せない。問題になりうる要素に気づくスキルは、しっかり意識することと練習を積むことによってはぐくむことが可能だ。

 きっかけになる要素に気づいたあとは、その要素にただちに対処する必要があるか否かを素早く判断しよう。いますぐ行動を起こす必要が本当にあるのかを検討するのだ。

 この問いの答えが本当に「イエス」の場合も稀にある(先ほどの表の「緊急性がある」の欄に含まれている要素のほとんどはそうだろう)。そのようなケースでは、必要な行動をすぐに取るべきだ。計画をただちに修正し、スケジュール表のタイムボックスもできるだけ早く修正することも忘れずに。

 しかし、圧倒的大多数のケースでは、いますぐ行動を起こす必要はない。

 もし、あとでやりたいと思うのであれば、どこかに書き留めておけばいい(そのアイデアを忘れてしまうのではないかという心苦しさをいだかないように、「やるべきことリスト」に書き込むといい。すぐにリストに書き込めない場合は、声に出して言ってみるだけでもいい。そうやって言語化することが有効だ)。

 それが済んだら、予定していた課題に戻ろう。一方、その要素を黙殺しても構わないと思うのであれば、ただちに切り捨てて予定に戻るべきだ。

 こうしたことを実践するために有益な戦術をひとつ紹介しよう。より好ましい、より意識的な反応を取って、予定どおりの活動に戻りやすくするために、周囲の環境を整えればいい。

 そうすれば次第に、集中力を失うきっかけになる要素に気づくと、おのずとタイムボックスの安全圏に戻るという反応を取れるようになるだろう。