意識が散漫になる
避けるべき行動

 先ほどの表のいくつかの項目を掘り下げると、私たちはしばしば、次のような反応を示している。

ほかの作業をしている途中でも、ビジネス向けチャットツールの「スラック」の通知や電子メールの着信があると、すぐに返信する(*)。

ウェブサイトをあれこれクリックしているうちに、気がつくと、オンラインショッピングやネット検索、あるいは単なるネットサーフィンをしている。

愛犬の様子を見に行く。すると、洗濯機の中に洗濯済みの衣類がそのままになっていることを思い出す。さらに、手つかずになっている家事がもうひとつあったことにも気づく。

空に目をやると、鳥が1羽飛んでいくのが見える。続いて、さらに2羽。それと一緒に、雲も流れていく。アームチェアみたいな形の雲だなあ、などと考えるうちに、白昼夢の世界へと迷い込む。

「コケコッコー」をネット検索する。すると、「マザーグース」の歌詞に行き着く。そして今度は、その歌詞に出てくるバイオリンの弓のことが気になり、さらに……。

まだ最初の文書が仕上がっていないのに、2つ目の文書を開き、作業を始める(*)。

 私たちは、複数のことを同時並行でおこなおうとしたり(*印をつけた項目)、いわば「ウサギの巣穴」にはまり込んだりしてしまう。このような行動パターンは、ときに悪い結果を招く。生産性が著しく落ち込み、達成感も低下する。

 しかも、弊害はそれだけではない。有害な依存症的行動に陥ることもある(ソーシャルメディアやメッセージアプリをやめられなくなったり、仕事をしていないと、いてもたってもいられなく感じたり)。

 この状態になると、タイムボクシングの効果、すなわち、心の平穏と生産性が失われてしまう。もっとも、よいほうに転べば、マルチタスクとウサギの巣穴は、楽しいという感情の源泉になる場合もある。

気づくスキルの
身につけ方

 私たちは、集中力を失うきっかけになる要素に対して、どのように反応するべきなのか。