「中間管理職の悩みが消えた」
「ハラスメントに配慮して働けるようになった」

そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』『パーフェクトな意思決定』シリーズ四部作だ。これまで4500社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「数字に強くなれる」「仕組みで解決できる」という思考法を授ける本シリーズは、さまざまな企業・業界・個人から圧倒的な支持を集めている。この連載では、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方について指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

頭の悪い上司は「データを都合よく解釈する」。じゃあ、いい上司は?Photo: Adobe Stock

頭の悪い上司は「データを都合よく解釈する」

 会社では毎日のように数字やデータが飛び交います。

 売上、KPI、エンゲージメント、アンケート結果、アクセス数……。

 どれも重要な情報のはずですが、それを「どう読むか」は、上司の力量によって大きく差が出ます

 実は、上司の「頭の良し悪し」は、データへの向き合い方にこそ、はっきりと現れるのです。

自分に都合よく解釈する=判断能力の低さ

「この数値は偶然だと思う」
「まぁ、下がっているけど現場は頑張ってるし」

 などといったコメントをする上司は、都合の悪い事実を直視できない典型例です

 現実を見ずに「自分の感覚」や「理屈」でねじ曲げて解釈する姿勢は、部下からの信頼を大きく損ないます。

 データとは感情ではなく、事実です

 目の前にある数字を「良い・悪い」ではなく、「何が起きているのか」の手がかりとして捉える力が求められます。

いい上司は「データの背景」を読み解こうとする

 一方で、優れた上司は、数字そのものよりも「その数字が出た背景」に注目します。

 なぜ、この数字になったのか、何が影響しているのか
 今後どのように推移しそうか

 そういった「構造的な理解」を重視するのです。

 また、複数のデータを突き合わせて仮説を立て、関係者とディスカッションする力にも長けています。

 結果だけを見て「◯◯が悪い」と断定するのではなく、プロセス全体に視野を広げて分析できるのが「いい上司」の証です

「説明できるかどうか」が分かれ目になる

 さらに重要なのは、部下や上層部に対して「その数字が示す意味」をきちんと説明できるかどうかです。

 数字だけを並べて報告しても、聞き手には何も伝わりません

 いい上司は、たとえばこう言います。

「先月のキャンペーンではPVは増えましたが、CVRが下がったのは◯◯という理由です。次回は◯◯の導線改善が必要です」

 このように、数字のつながり・因果関係・打ち手をわかりやすく整理することで、組織にとって有益な意思決定ができるのです。

感覚で判断せず、構造で捉える

 頭の悪い上司ほど、数字を「自分の主張の補強材料」として使いたがります。

 頭のいい上司は、数字を「現場の変化を理解するものさし」として使います。

 両者の違いは、部下の信頼と成果に大きく影響を与えるのです。
 現実を正しく捉えるために、感情ではなく構造で語りましょう。
 そして、リーダーは仮面をかぶりましょう。
 自分の感情を押さえ、数字と向き合う冷静さこそ、信頼される上司の第一歩です。

(本稿は、リーダーの仮面の著者・安藤広大氏が書き下ろしたものです)

安藤広大(あんどう・こうだい)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4500社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計178万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。